中国・サハリン帰国者教育の相互支援ネットワーク

2011年11月02日号

編集・制作:中国帰国者定着促進センター
          教務部講師会
発行者:中国帰国者定着促進センター

《同声・同気》はこれまでWEB版として年に3回発行していましたが、本号からは随時発行していきます。

今号を印刷してお読みになりたい方は、こちらのPDFをご利用ください。2011年11月02日号PDF

<目次>
 特集:「『支援・相談員』の現場から」インタビュー記事 中国語翻訳完成
 教材・教育資料
  ・外国人の子どもの教育に関する教室活動事例集 『教室活動』
  ・『教員必携 外国につながる子どもの教育 Q&A・翻訳資料』
  ・『日本生まれの外国につながる子どもたち〜どうやってサポートすればいいの?〜』
 とん・とんインフォメーション
  ・『 平成22年度地域生活支援推進事業 中国帰国者等生活ニーズ調査報告書 』紹介

特集

同声・同気第52号特集「『支援・相談員』の現場から」 インタビュー記事 中国語翻訳完成

『同声・同気』第52号特集号1〜4頁

来自支援咨询员第一线的声音 —— 走进遗华孤儿的日常生活

  为了帮助遗华孤儿安度晚年,平成20年4月,作为“新型支援方案”的一环,支援付给制度正式付诸实施。与此同时,还设置了“支援•咨询员”(以下简称咨询员),以为支援付给的具体实施机构。咨询员所从事的工作,是辅助工作人员实施支援付给,此外,还要就地区支援计划之具体内容提供建议,接受遗华孤儿的日常商谈,并充当自立支援翻译,以及作为助手参与策划、制定遗华孤儿地区生活支援方案等。另外,各具体支援形式及支援方法,将会根据各个地区及遗华孤儿需求的不同而不尽相同。
    现在,全国各地共配置有500名咨询员。选任咨询员的条件是:须了解遗华孤儿的情况,并具备翻译能力。各地在人选上积极采用遗华孤儿第2、3代,由各市区町村或都道县政府负责配置。实际上活跃在各地区的咨询员,有以前的自立指导员,遗华孤儿第2、3代,以及与日本人结婚后定居于日本的中国大陆及台湾人等。
作为一项公共措施,咨询员于具有地方特色、对遗华孤儿实施支援的第一线从事着重要的工作。他们需要伴随遗华孤儿度过每一天的日常生活,并第一个掌握、捕捉遗华孤儿所处的现实情况及其所碰到的问题、烦恼。同时,咨询员自身也会与需要商谈的遗华孤儿一道苦恼,并与行政机关及地区工作人员一起寻求解决问题的办法。据说有时候他们会遭遇因语言、文化习惯及价值观的不同而引发的各种难以调解的问题;或是在社会形势、制度面前碰壁,浴血奋战却终无所获,从而感到无奈与失落。处于这种情况的咨询员,平时大多是一个人在地区活动,因此很难了解到其它地区遗华孤儿及咨询员的情况,也很难与其他咨询员进行信息交流。基于这样的原因,我们希望借助NL,连通活跃于各地第一线咨询员。此外,我们认为来自咨询员的声音,不仅仅对于咨询员本身,包括所有与遗华孤儿支援工作有关的人在内,都是一种探索今后支援方向的参考与启示。
    今后,《来自“支援•咨询员”第一线的声音》将不断采访活跃于各个地区的咨询员。在此次第一回里,我们采录了两位咨询员的声音。他们让我们对咨询员及遗华孤儿的日常工作、生活有了进一步的了解,同时也为我们展示了不同地区的差异及共同点,还有作为咨询员的苦恼和建议等等。两位咨询员的声音是一种极好的参考,敬请大家阅读。


A女士(遗华孤儿第二代)
中部 地方城市 所属:县(自2008年度)负责居住于3市3町的19家共32人

1.请介绍一下遗华孤儿最近的情况及你平时的工作内容。

    遗华孤儿第一代的家庭很多人年势较高,腿脚不便,加上没有什么兴趣爱好,所以整天闷在家里的人很多。这儿、那儿有病的人也不少,我最近的工作就是每周三次左右,陪着他们去医院看病,给他们当医疗翻译。有时候为了帮助他们申请和认定护理保险,也会跟市区町村的医生合作。
   和刚刚到日本的时候相比,第二代家庭找工作变得很不容易。以前,作为办来的家庭回到日本以后,为了一家人的生活,即使不懂日语也不得不出去工作。不过,只要找到工作,其生活水准跟普通的日本家庭就没有什么两样。可是,随着日本社会发生变化,受企业裁员及减缩员工的影响,很多第二代都失去了工作。夫妻双方都失业,或是夫妻一方失业的家庭多了起来。有的人还因为收入减少、生活贫困而出现了心理问题。给我打电话商谈的情况比较多,但是光靠打电话是解决不了问题的,所以有时候我也会去职业介绍所或相关的机构。
迄今为止,县政府所制定的支援措施和新型支援方案没有太大的区别,所以从享受生活保护过渡为领取支援付给金的家庭,好像大都没有感觉到制度发生了怎样的改变。只是,我也听到不吃生活保护、而是过渡为领取付给金的人告诉我,“医疗费的负担没有了,所以不用为晚年担心,生活也轻松了。”

2.大家都因为什么事与你商谈?

   大多是医疗翻译、殡葬祭祀、找工作、家庭内部的事情、与左邻右舍的矛盾、住房、学校生活等日常生活方面的内容。有时候各个机关(市町村、学校、医疗机构及居委会)也会找我商谈。
   最近,越来越多的遗华孤儿第一代为第二代的事情找我商谈:“我们不用为生活费担心,只要能健康地活着就行,只是子女的生活叫人担心。”

3.你想提的建议及你认为什么方面需要改善?

•我认为应该促进第一代和第二代家庭同居。遗华孤儿本身的年势已经很高,所以他们需要身边有让自己放心、能够照顾其日常生活的人。要是同居的话,就可以缓解遗华孤儿的孤独。
•应该建立一套对需要护理的遗华孤儿提供支援的体制。
•需要探讨如何扩大面向办来家庭的支援(日语教育、就业对策、育儿支援措施等)
•配置于各地的支援•咨询员,我认为应该不仅包括会说日语和汉语,配置通晓地区情况的,在日本接受过教育的人为好。

4.作为一名咨询员,你有什么烦恼吗?

•在与我商谈的家庭中,有一些会在休息日或深夜打电话到我家,甚至也有直接上门的。当然,对方生病或受伤等紧急情况下,我会竭尽全力帮助他们。我希望如果是在工作时间内能够解决的事情,尽可能打电话到我的工作单位与我联系。
•很多遗华孤儿第一代的年势越来越高,因此定期去医院看病的次数也越来越多。对于他们提出的,希望医疗翻译同行的要求,我会调整日程安排,尽可能地满足他们的需要。只是有时候会出现几家人同时要求,时间重叠的情况,所以无法一一满足大家的要求,这让我觉得很对不起大家。
•我认为支援遗华孤儿是我们第二代的使命,我始终抱着这种信念工作。可有时自己会陷入二者不得兼顾的尴尬境地。我要时常回到作为遗华孤儿第二代的出发点,始终不忘与第一代共鸣,从他们身上获得感动。

5.最后

    我认为支援•咨询员不仅仅是一名翻译,其更重要的是为遗华孤儿提供商谈。我希望能有更多的机会,与各地区支援•咨询员就各地遗华孤儿的生活状况及支援方面存在的问题,交换信息和意见。


B女士(原自立研修中心教师•咨询员)
中部 地方城市 所属:市(自2008年度) 负责7家(全市共10家遗华孤儿家庭)

1.平时你是怎么工作呢?

    我每星期工作一天。上午借市政府的会议室开日语学习班(“日语沙龙”),同时在这一时间内接受有能力来上课的遗华孤儿第一代的商谈;下午走访腿脚不便、出门困难的孤儿家庭(约有半数)。虽然制度上规定支援对象以第一代为主,但无论公费回国还是自费回国,若第一代孤儿的子女要去职业介绍所找工作需要翻译的时候,我都会帮他们。

2.大家都为什么事与你商谈?

・陪第一代定期去医院等
    遗华孤儿第一代的年势越来越高,所以他们感到身体不适时,需要跟人就健康•疾病进行商谈。定期去医院看病时,也需要有人帮助。我会把他们想告诉医生的症状及治疗要求等信息,用日语写在纸上交给他们。要是时间上配合的话,我也会陪他们上医院。跟他们去医院看病以后,我才知道他们基本上无法与医生沟通。所以,医生也希望我能尽可能地陪他们上医院。遗华孤儿第二代要是有时间的话,第一代大都会让他们陪着去医院。只是,第一代也知道第二代很忙,所以很多人有病不就医,而是到药店买点儿药吃,能挺就挺。还有,对于历经苦难后走向暮年的第一代,要第二代理解、体会他们、与其感同身受,有些地方或许会很困难。我认为在这一方面,与第一代孤儿年龄相仿(有护理父母经验)的咨询员,对于他们来说,或许更能切身体会到其困难,也能为他们提供有益的建议。为了充当一名能够感受他人痛苦的咨询员,我渴望在充分了解日中文化及习俗差异的基础上,为遗华孤儿第一代出主意。
・帮助第二代找工作
    这个地区有很多20年前回到日本、未能充分进修日语便立刻投身到工作当中、之后迎来退休年纪的遗华孤儿第一代。因此,其第二代无论是公费回国的还是自费回国的,都基本上实现了自立,并且似乎大都有着应该依靠自身的力量在日本生活的想法。即使是在这种不景气的情况下,因为被解雇、生活不稳定而前来商谈的,也只有两家。从大城市的例子来看,很多孤儿一旦依靠上生活保护,就很难从中脱离出来。所以,我常常建议遗华孤儿将生活保护作为最后一种手段来考虑,尽可能地一边寻找其它方式一边鼓励自己加油。他们中的有些人在我陪他们去职业介绍所的时候;帮他们申请社会福祉协议会贷款(没有利息,但拿到现款需要相当一段时间);或是一起去请求迟缴房租的过程中,通过朋友介绍找到了工作,或是重新回到工作岗位,最终不依靠生活保护而度过了难关。所以,我认为重要的是要让第二代有一种放心的感觉,即遇到困难时有人跟他们一起想对策,实在没有办法时,还可以享受生活保护。
•其它
    除此以外,还有怎么计算支援金,询问邮到家中的通知及信件广告的不明之处,住房出问题或与邻居发生矛盾等,都是商谈内容。有时碰到邻里冲突时,我也会与民生委员联系,或是跟随孤儿一起去警察局(寻求市民商谈)。

3新型支援方案开始实施以后,你感到有什么变化吗?

    长年与遗华孤儿接触下来,我感觉实施新制度(可以全额领取老龄基础年金)以后,孤儿们的生活趋于安定,他们的表情也变得明朗起来了。允许孤儿领取全额年金,这个意义不仅仅局限在经济范围内,它更使孤儿们感觉到了尊严(从自尊心这一角度出发),感觉到自己作为一名日本人被社会承认,同时也有利于帮助他们构筑作为日本人的精神世界。

4.你认为现在最大的问题是什么?

    可以想象,不远的将来,遗华孤儿第一代将毫无疑问地需要护理服务。可是不懂日语的话,在接受护理时一定会存在沟通困难。还不用说接受护理,就是在之前的申请护理这一关上,就可以想象孤儿们一定会缺乏信心、怀抱不安。因此,在了解护理服务类型、怎么办理申请的同时,还需要提高他们与此相关的日语水平。只是,源于年龄及在中国的就学经验等关系,要让第一代中的大部分人系统地学习日语是很困难的。对于这些人来说,最为需要的是运用一种十分直接的学习方法,将其在日常生活中所碰到的问题及不便,一个个地拎出来学习,以使其掌握晚年生活所必需的日语。比如,现在有人在看牙科,就搞一个医疗会话,借助《医疗》(远距离课程教材)中用得上的部分,让大伙儿一边快乐地交谈,一边学习。对于遗华孤儿第一代来说,《医疗》这一教材,是十分具有实践性的。因此,我希望能够根据老年人的情况,编纂一本紧贴其日常生活的“晚年日语”教材。

5.作为一名咨询员,你有什么烦恼吗?

•有关用车接送孤儿的问题
    在地方上生活,最大的问题就是“交通手段”。 由于遗华孤儿第一代无法走着去医院,所以往往要依赖孩子们用车接送,于是去医院看病、检查,也往往要配合孩子们的时间。虽然遗华孤儿也可以乘坐市政府的车,不过,我正在犹豫是开车接送他们是否属于自己份内的工作。安全方面的责任固然重大,只是,我一个星期只上一次班,这恐怕无法满足所有人的需要。
•地区社会里遗华孤儿之间的人际关系
    长年生活在狭小的地区社会里,彼此间低头不见抬头见,所以有时候有人表示要是谁谁参加“日语沙龙”的话,我就不参加。这也是可以理解的。要是在大城市,遗华孤儿的人数比较多,参加日语学习的人也多,这样彼此可以把心分到别处。可是在地方小城市,乡土观念很重,因此也会使人与人之间的近距离交往变得困难。

教材・教育資料

外国人の子どもの教育に関する教室活動事例集
『教室活動』 2011年1月

 独立行政法人国際協力機構(JICA)が派遣している日系社会青年ボランティアには、公立学校および国立大学付属学校の教員が「教員」の身分を保持したまま参加する制度があります。平成21年度には11名、平成22年度には7名の教員がこの現職教員特別参加制度でブラジルに派遣され、ボランティアとして1年9ヶ月、現地の学校で活動しています。
 そうした現職教員の派遣期間中の活動の質の向上や、帰国後のより質の高い教育活動につなげるための経験知の共有を図るため、愛知県立大学の東弘子氏を中心とするグループが文部科学省から委託を受けて「日系社会青年ボランティア『現職教員特別参加制度』活動支援のための教育協力システムの形成」というテーマで取り組んできました。その成果物の一つが、ここで紹介する外国人の子どもの教育に関する教室活動事例集『教室活動』です。
 この事例集は、派遣先での活動事例をまとめた「国外編」24例と、帰国後に実践可能な就学前教育・日本語学習・国語科学習・算数科学習・社会科学習・理科学習・国際理解教育といった「国内編」48例で構成されています。それぞれの対象者や活動内容が一目でわかるようなテンプレートシートに加えて、いずれも現場で実際に試してみた結果(うまくいった点やうまくいかなかった点)なども紹介されていますので、外国人児童生徒の学習指導の現場で悩んでいる人には様々なヒントを提供してくれるかもしれません。
 この冊子のPDFファイル(10MB、184ページ)は、筑波大学教育開発国際協力研究センター(CRICED)の国際教育協力アーカイブス http://e-archive.criced.tsukuba.ac.jp/ で「教室活動集」としてキーワード検索すると、ダウンロードすることができます。

『教員必携 外国につながる子どもの教育 Q&A・翻訳資料』
宇都宮大学HANDSプロジェクト  平成23年3月発行 A5判158頁

 この書籍は外国につながる子どもの教育に関する手引です。支援現場の“困った”に応えることを目的としていて、学校現場における実際の支援の方法や保護者への対応などをQ&A方式で説明しています。また、キーワードを解説する≪ワンポイント学習≫、視覚的に子どもに指示するための≪視覚資料≫、保護者や教員の≪体験談≫や≪コラム≫も盛り込まれています。後半には、学校生活において使用頻度の高い通知文(検診、授業参観、家庭訪問、遠足など)41項目をポルトガル語、スペイン語に翻訳して掲載しています。

 入手方法はホームページ「宇都宮大学HANDSプロジェクト だいじょうぶnet.」から申し込みをします。 http://www.djb.utsunomiya-u.ac.jp/news/248/ 先着300名でひとり1冊限定で、送料は自己負担です。

『日本生まれの外国につながる子どもたち〜どうやってサポートすればいいの?〜』
(財)かながわ国際交流財団 平成23年3月発行 A5判48頁

 両親が外国出身でも日本生まれの子どもの場合、日本語を流暢に話すと問題がないように思われてしまいます。しかし、学習面・生活面で特別な配慮を必要としている場合もあります。この冊子はこのような(日本生まれ)の子どもたちを一般の教室で迎える小学校の先生方が、子どもの言語環境や家庭環境をよりよく理解して、関わりを持つために参考となるものです。

主な構成は

第1章 かながわに住む外国籍の人々 
第2章 小学校入学に際してのサポート 
第3章 外国につながる子どもたちと教科学習 
第4章 外国人保護者との関係づくり 
第5章 資料集

となっていて、5章の資料集には、書籍の紹介、お役立ちリンク集、相談窓口・関連団体などが紹介されています。
 かながわ国際交流財団のホームページ http://www.k-i-a.or.jp/tabunka/shidousha.html よりダウンロードできます。

とん・とんインフォメーション

『 平成22年度地域生活支援推進事業 中国帰国者等生活ニーズ調査報告書 』紹介
発行:社会福祉法人 北海道社会福祉協議会  北海道中国帰国者支援・交流センター 平成23年3月

 この報告書は、帰国者の老後の安心を支える地域生活支援推進事業の具体的な計画策定を目的として実施され、道内の中国/サハリン帰国者1世本人を対象に、調査員が家庭を訪問して面接調査した結果をまとめたものである。北海道全域の帰国者を対象とする調査は初めてのものであり、この調査を通して帰国者の「高齢化・虚弱化・介護」の問題が如実に浮かび上がってきていると本書は述べている。
 内容は、調査の概要と結果、「うつ病スクリーニング尺度」との関連要因についての分析、生活ニーズをめぐっての調査員による座談会の記録、帰国者の生活事例報告、この調査に基づいて企画された地域生活支援推進事業「介護保険制度理解のための見学会」の報告等からなっているが、本稿では、特に、調査結果からうかがうことができる帰国者1世の高齢化の状況や実態、本人達の思い等に焦点を絞り、その一部を要約して紹介したいと思う。

[ 回答数:中国帰国者99名・サハリン帰国者56名  平均年齢:71.1歳 ]
●健康状態:「あまり健康ではない/健康ではない」が60%と、内閣府の65歳以上日本人の調査結果(2002年)26.5%というデータと比べ、高い数字が出ている。(単純に比較はできないが、帰国者の生活歴・生活環境からやはり疾病をかかえる者が多いと想像される)また、中国帰国者は40.4%が病院受診時に通訳が必要としている。介護については、「〈介護保険制度〉を知らない」が31%いるが、「すでに介護施設に入所している」等が16人、「何らかの介護を受けている」は全体の11.0%おり、介護サービス対象者は確実に増加している。将来の介護に不安を持ち、特に施設入所の場合、コミュニケーションや文化の違いに不安があるとの声が多く聞かれた。
●メンタルヘルス:帰国者は特異な人生を送ってきた人々である。過去の悲惨な経験、加えての異文化適応という課題から、様々なストレスを抱え、引きこもり、鬱的な傾向が見られる例もある。調査項目に「鬱病スクリーニング尺度」の〈2質問法〉を用いた設問を加えた結果では、約2割が「鬱状態」にあると判定されている。また、この設問とその他の設問項目との関連を見た結果からは、日本語の力、それも会話力と鬱状態に関係があること、会話力の向上は予防効果が大きいこと、付き合いがよく、日本文化に親しみを感じていると鬱的な症状は軽くなること、鬱的な傾向に陥りやすい帰国者にとっては、趣味・娯楽の活動が有効であり、生活の満足度をいかに上げるかが重要であること等が指摘されている。
●心配なこと:中露を問わず、@健康と今後の生活、A2・3世の生活や将来、B配偶者の老後、が挙げられている。
Aについて:2・3世は、圧倒的に自費帰国者が多く、国の日本語学習・就労支援は受けられない。2世の年齢は30代〜50代、中には60歳を超える2世もいる。1世は、新たな支援策※※により経済的に一定の安心が得られているが、2世はこれまでも、自身の就労、子どもの教育問題等苦労を重ねてきており、昨今の不況下、不安定な就労状況、高年齢の2世の場合は自らの老後の問題が不安の原因となっている。1世の心配はこうした2世の状況についてのものである。
Bについて:配偶者の支援給付に係わる問題を指している。1世本人の死後、国民年金の満額支給が停止され支援給付のみの支給となったときのことが生活不安となっており、これは全国の帰国者から制度の問題として改善要望が出されているものである。

 こうした調査結果とともに掲載されている、6人の帰国者の生活事例報告も貴重なものである。高齢化の進む帰国者1世の状況を知り、今後の支援の方向を探るための資料として一読をお勧めしたい。

 この報告書は、北海道中国帰国者支援・交流センターHPからダウンロード可能
→ http://www.hokkaido-sien-center.jp/

調査員:支援・交流センター職員、支援・相談員、身元引受人、自立指導員
※※「新たな支援策」:2008年4月より施行された、老齢基礎年金の満額支給、それを補完する生活支援給付等、帰国者(孤児/婦人等)の老後の生活安定のための支援策。身近な地域での日本語教育支援事業や自立支援通訳等の派遣など、地域社会における帰国者本人とその家族のための生活支援も含まれている。


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