HOME > 支援情報 > 機関紙「同声同気」 > 第37号(2006年9月21日発行)  PDFファイル
地域情報ア・ラ・カルト
 ☆遠隔学習課程 スクーリングの現場から〈宮崎〉
 文化交流会の活動 −定着後の帰国者を支援する
 学校内で地域でJSL児童生徒の学習支援を −柏JSL学習会の取り組み
 《2006年度進路ガイダンス》各地の情報
行政・施策
 ★厚生労働省から:
  東海・北陸および中国・四国支援・交流センター開設
  平成18年度共同調査について
 ★援護基金から:老後支援事業に取り組み開始
  高齢帰国者の介護グループを後押し
 ★文化庁から:
  地域日本語教育支援事業−新事業案内
  平成18年度日本語教育大会報告
研修会情報
 ★研修会報告:
 ・「地域国際化を考える研修会 2006」
 ・中国帰国者支援・交流センター遠隔学習課程
  スクーリング研修会
 ★研修会情報:
 ・第52回 全国夜間中学校研究大会開催
  第7回 外国人児童生徒教育フォーラム
 ・医療通訳養成 /医療通訳コーディネーター養成講座
教材・教育資料
 中学・高校生の日本語支援を考える会編『用例付学習語彙5000語 日中対訳(試用版)』
 教材リスト『日本語習得の支援−既成教材からテキストを選ぶときのために』
 『外国人日本語学習者のための地震マニュアル(改訂版)』
とん・とんインフォメーション
 ホームページ情報 大学入試情報(帰国者特別枠)/全国高校入試特別措置 等
 日本語教室一覧 北海道/埼玉/千葉
 『2005年度子どもの就学状況実態調査報告書』
 外国人児童・生徒の日本語指導のあり方に関する調査研究
 ビデオ:『時は流れて 遥かなる満州』、『捨てられた孤児たちの証言』
 『2004シンポジウム報告 中国残留日本人孤児の過去、現在、未来 -「残留孤児問題」の総括と展望-』
ニュース記事から 2006.05.13 〜 2006.09.10
事例紹介 夢ではなくなった「通訳案内業試験に合格A」

地域情報 ア・ラ・カルト

☆遠隔学習課程 スクーリングの現場から:宮本安津〈宮崎〉

 平成18年春、Aさんから日本語能力試験一級に合格したという、待ちに待った嬉しい知らせが届きました。Aさんは中国帰国者支援・交流センター〈遠隔学習課程〉スクーリングの宮崎県で最初の受講生の一人です。私は、自分が合格したかのように興奮しました。Aさんは、1974年頃、母親と6か月間の親族一時訪問で初来日しました。Aさんは当時14歳でしたので、その期間、日本の中学校に通学しました。そして2000年4月、38歳でやっと日本に帰国できました。今回は初来日の当時とは異なり、来日早々、色々のカルチャーショックを受け、辛い目にも遭ったようでした。平成13年スクーリング生の募集にすぐ応募して〈漢字学習〉コースと〈読解の基礎〉コースを受講し始めました。Aさんの学習態度は、真面目で頑張り屋で、私は共に学ぶのが楽しく、Aさんの間違いを正すと、素直に「よくぞ指摘してくれた」と喜ばれました。Aさんもご家族も前向きに考えて生活する人たちですから着々と日本社会に順応しています。Aさんは向学心に燃える人なので、今回合格した日本語能力試験一級を足掛かりとして、更に他の資格にも挑戦するそうで、ただ今準備中です。私もAさんに相応しい仕事がしてもらいたいので、心から応援しています。
 現在、宮崎県でスクーリングを受けている人は、Aさんと同時期の受講生である帰国者一世のBさんと、少し遅れて受講し始めた帰国二世のCさんです。日常生活、生活態度、進度等、あらゆる点が対称的な二人ですが向学心は共に旺盛です。私はそれぞれ個別学習を行っています。Bさんは一人静かに家で机に向かって勉強が出来る生活に憧れていたのですが、来日して条件が整ってそれが実現したところのようです。最初に〈漢字学習〉と〈読解の基礎〉を選択しましたが、〈読解の基礎〉は、Bさんにとってハイレベルで、容易には理解できません。きちんとしたBさんの性格から最後の課題提出まで漕ぎ着けました。私は、「早く提出して気分をスーッとさせたい!」と訴えられて提出課題の仕上げに力を貸した事もありました。そして〈漢字学習〉一本に絞って勉強することにしました。家庭での自学自習の都合で、〈漢字ゆっくり〉コースに移籍して修了しました。私としては、Bさんについては、これから進学するわけではないので、日常生活に必要な漢字だけ楽しく学びましょうと言って、重要とは思えない文字や筆順についても強制しませんでした。Bさんは、提出課題が届くと早く仕上げたいと思うのか、まだ学んでいない所でも自分の力でテキストから解答を探し出し仕上げて提出してしまうことがあります。振り仮名の振り方、撥音、拗音、促音、長音等も適当で、きっちりと書くのが今のところ難しいようです。でも勉強することが、本人の生活の張り合いであり、楽しみであり、頭の体操でもあるのです。Bさんは漢字の修了が近づくと「次は〈消費生活〉コースを申し込みました。」と自主的に継続を決めていました。買物は人任せのBさんが〈消費生活〉テキストで一番喜んだのは、チラシの見方を覚えたことでした。バーゲン、タイムサービス、〜割引、〜%引き等、チラシに情報が盛り沢山あることを知りました。現在Bさんは、新しくできた〈医療〉コースに進んでいます。『医療用語・表現集』の使い方も3種類の索引をどのように利用するか少しわかって来て、いざというとき病院に持参して使えるようになれそうです。テキストのヒアリングの所(テープ)が解答できたり、薬袋の用法説明が理解でき解答もできた、そして、薬をもらってもわかると、達成感を味わっていました。
 一方、Cさんは、忙しい年齢の二世です。家では殆ど学習の時間は無いようですが、もともと基礎学力があり、知識欲もあって努力家なので、私が楽しみにしている一人です。Cさんの場合は、テキストの漢字を全部覚えようとして、集中して唱えています。音読はなんとか覚えても、訓読は2〜3度ではなかなか身に付きません。そしてほかの帰国者と同様に、送り仮名と、清音・濁音の区別も苦労するところです。しかし努力の甲斐あって、最近、練習問題を読んだだけで意味がわかる文章が増えて、進歩を感じます。テキストの自己チェックの欄に真剣に取り組んで自分の記憶力の結果を見て楽しそうにしています。私はCさんに、テキストの下段の「書き取り」にも挑戦出来るはずと、一歩前進を勧めています。
 帰国者一人一人の立場・条件・意欲は全く違いますが、日本で生活して行く為には必要不可欠な日本語です。私は、この〈遠隔学習課程〉コースを利用して、それぞれのニーズにあわせて出来るだけ多くの人に楽しく学んで欲しいと思っています。

〈文化交流会〉の活動 ― 定着後の帰国者を支援する

1.きっかけは?
 1984年以来所沢市を中心に中国帰国者定着促進センターの活動を側面から支え続けてきたボランティア団体である「友の会」。その1999年の総会の席で、会員の中から「私たちはこんなに長い間帰国者と接してきたが、中国について知らない事が多すぎる」という声が上がりました。それをきっかけに友の会の会員である鏑木さんが世話役になり2001年「中国を知る会」が始まりました。
2.始めはどんな活動を?
 友の会の会員の中には戦後中国から引き揚げて来た人も多く、鏑木さんたちはまず、その人たちの中国での生活体験を聞くことから始めました。
 場所の確保が難しくいろいろな所を探した末に所沢市内の公共の施設を借りられるようになりました。そして自分たちの勉強会の他に漢方の知識に詳しい帰国者を呼んで漢方薬やツボの知識を勉強したり、中国の文物を集めた博物館の見学に行ったりしました。
3.更に活動が発展!
 2003年に鏑木さんは東京の中国帰国者支援・交流センターで開かれていた「中国帰国者のための和裁講座」に講師アシスタントとして参加した際、所沢にも多くの帰国者が定着していることを知り、所沢でもこのような活動ができるのではないかと考えたそうです。そして、所沢市内在住の帰国者に呼びかけ、「中国を知る会」のメンバーと帰国者との日本語や中国語を交えた交流が始まったのです。その後会の名称も「文化交流会」になり、会員の様々な努力によりいろいろな活動ができるようになりました。これまでに、大体月に1回のペースで中国の布靴作り、日本の風呂敷の使い方講座、お花見旅行、お茶の会、中国と日本の料理講座、ダンス教室など多くの活動が行われ、参加する帰国者の数も増えていきました。
4.問題点とこれから
 鏑木さんたちの頭を常に悩ますのは活動資金の問題です。会員やその他のみなさんからの寄付に頼っているのが現状ですが、特に旅行等ではバスの借り賃や食事代等の費用で毎回悩んでいるそうです。でも会員のみなさんがいろいろな情報を持ってきてくれ、いつも何とか切り抜けているとのこと。また、所沢からちょっと遠い所に住んでいる帰国者が参加する場合、交通費の問題があるので、そのような帰国者にとってより近い場所で同様の交流会を開くことも企画されつつあるそうです。

 日本に定着後、特に一世は家に閉じこもりがちな生活を送っている人が多いと聞いている。経済上の問題から日本の老人のように趣味にお金をかけることもできず、ことばの問題から気軽に近くのサークル活動に参加することもできないからだ。帰国者が住んでいる地域から遠くない所でこのような活動を企画してくれるボランティア団体がいることは帰国者にとって大きな支えとなるのではないだろうか。定着後の継続した支援を行ってくれるボランティアの活動が全国に広がっていくことを願っている。

(所沢センター:中村)

学校内で 地域で JSL児童生徒※の学習支援を―〈柏JSL学習会〉の取り組み―

 現在、日本全国の小中学校に在籍しているJSL児童生徒が抱える問題の一つに「教室での学習についていけない(教科学習ができない)」ということがよくあげられます。そのため各地でJSL児童生徒の教科学習支援の取り組みが行われています。今回は平成17年度に千葉県柏市との協働事業として、今年の5月から支援がスタートした、「柏JSL学習会」について紹介します。柏市では、外国人児童生徒たちへの初期日本語指導は充実していましたが、教科学習支援への対応が課題となっていました。そこで、初期日本語指導にも携わってきた高橋眞知子さんを代表に、教科学習支援事業が立ち上がったのです。
 「学習会」は、柏市内の小中学校に在籍し、日常会話レベルの日本語はできるようになっても、教科学習に参加するのが困難なJSL児童生徒を主な対象とした学習支援を行っています。毎週土曜日に地域の日本語教室で行われる、子供たちの母語も併用した教科指導や日本語による1対1の教科指導のほか、学校内での放課後の指導や、授業中に教室に支援者が入ったり、別教室に取り出したりなど、子供たちの状況に応じてさまざまな支援の形態をとれる体制になっています。そのため、子供と支援者だけではなく、学校(担任の教師)・保護者と密接に連絡をとりあい、支援の方向を決 めています。「柏JSL学習会」の事業化にともな い、教育委員会指導課が中心になって学校と支援組織を結びつけた結果、子供たちの在籍校と土曜日教室の両方での教科学習支援を行えるようになりました。この活動は、学習支援における行政と地域、そして学校の連携のモデルの一つとなるものです。
 支援がスタートして5ヶ月。現在、「柏JSL学習会」で学習をしている子供たちは17名、年令、背景、言語など、多様な子供たちであふれています。支援をしている人は33名、加えて在籍校の教員や保護者など、多くの大人が子供たちを見守っています。代表の高橋さんは、目下の課題として、保護者や学校の先生だけではなく、初期の日本語支援の担当者、通訳、柏JSL学習会の教科支援の担当者など、子供たちに関わるさまざまな人々の連携をあげています。子供たち一人ひとりの背景と個性にできる限り対応していこうという高橋さん達の強い思いがそこにはあります。
 「(日常会話の)日本語ができるから」と教室で埋もれてしまいがちな子供たちにとって、教科支援の輪が広がっていくことは大きな意味があります。子供たちの「わかった!」の笑顔がどんどん増えていくことを願ってやみません。

(所沢:荻野)

※JSL児童生徒:日本語を第二言語とする子供たち

《2006年度の進路ガイダンス》各地の情報

☆今年も9月中旬までに、11都道府県*でガイダンスが開催されました。九州地域では、熊本県でも新たに実施されました。
*東京、千葉、熊本(初)、埼玉、大阪、静岡、福岡、岐阜、北海道、三重、滋賀で開催

☆9月下旬以降の開催予定☆

【東京】10月に実施予定
《多文化共生センター・東京21  TEL/FAX:03−3801−7127  Email:tokyo@tabunka.jp 》

【千葉】
@09月24日(日) 千葉市
A10月01日(日) 船橋市
B10月15日(日) 松戸市
《千葉大学教育学部社会教育研究室  TEL:043−290−2568》

【埼玉】
 10月29日(日)春日部市
《埼玉県国際交流協会事業課 大西  TEL:048−833−2992/FAX:048−833−3291》

【神奈川】
@09月23日(土) 横浜市
A10月01日(日) 平塚市
B10月14日(土) 相模原市
C10月15日(日) 横浜市
D10月21日(土) 厚木市
《高橋清樹 TEL:045−942−5202 》
 下記HPにも詳細を掲載
 http://www15.plala.or.jp/tabunka/index.htm

【長野】
@10月08日(日) 松本市
A10月15日(日) 上田市
B10月22日(日) 長野市
C10月29日(日) 飯田市
《(財)長野県国際交流推進協会 春原  TEL:026−235−7186》

【静岡】12月に実施予定〈浜松市〉
《浜松NPOネットワークセンター  TEL/FAX:053−445−3717》

【奈良】
@09月22日(金) 天理市
A09月29日(金) 香芝市
《奈良県外国人教育研究会  TEL:0742−62−5555/FAX:0742−62−5568》

【大阪】
 三島ブロック  11月23日(木・祝)
 豊能ブロック  11月18日(土)
 北河内ブロック 10月28日(土)
 中河内ブロック 12月上旬予定
 南河内ブロック 10月08日(日)、11月12日(日)
 泉北ブロック  11月12日(日)
 泉南ブロック  10月22日(日)
《(特活)関西国際交流団体協議会  TEL:06−6773−0256/FAX:06−6773−8422  E-mail:kna@interpeople.or.jp

【三重】
 10月01日(日) 津市 《津市教育委員会人権教育課 TEL:059−229−3253》
 10月01日(日) 伊賀市 《伊賀市教育委員会 TEL:0595−22−9676》
 10月14日(土) 亀山市 《亀山市教育委員会学校教育室 中田  TEL:0595−84−5076》
 11月26日(日) 四日市市 《四日市市教育委員会指導課 浅川  TEL:059−354−8255》

ガイダンスの詳細は、当センターHP ※にも掲載しています。
※トップ画面 コンテンツガイド〈進学進路支援情報〉→「高校進学ガイダンス情報」→ ◆2006各地の情報(追加情報)

行政・施策

★厚生労働省から

1.9月1日「東海・北陸 中国帰国者支援・交流センター」及び「中国・四国 中国帰国者支援・交流センター」開設

 中国帰国者等に対する継続的な支援を行うため、平成13年11月に首都圏及び近畿圏に、平成16年6月に九州圏に「中国帰国者支援・交流センター」を開設したところですが、今年度、新たに東海・北陸圏及び中国・四国圏に次のとおり開設いたしました。

1.名  称  東海・北陸中国帰国者支援・交流センター
  場  所  愛知県名古屋市東区橦木町一丁目19番地 日本棋院中部会館6階
  委託団体  社会福祉法人 愛知県厚生事業団

2.名  称  中国・四国中国帰国者支援・交流センター
  場  所  広島県広島市南区比治山本町12番地2号 広島県社会福祉会館内
  委託団体  社会福祉法人 広島県社会福祉協議会

  両センターにおける事業概要
  (1)日本語学習支援事業:地域社会でのコミュニケーションや就労に役立つ日本語学習支援
  (2)相談事業:相談窓口を開設し、来所・手紙・電話等で相談等に対応
  (3)交流事業:帰国者同士や地域住民と交流し、コミュニケーションできる場の提供

2.平成18年度共同調査について

 中国残留日本人孤児の肉親捜しについては、孤児の高齢化に伴う精神的・身体的負担の軽減や早期の帰国に応えるため、厚生労働省職員が訪中し中国政府の協力を得て現地で共同調査(訪中調査)を行う方式で実施しています。
 今年度は、6月25日から約4週間にわたり黒竜江省、遼寧省、内蒙古自治区、吉林省、山東省及び北京市において共同調査を行い、孤児申立者18人、証言者15人との面接調査を実施するとともに、継続調査(協議案件)となっていた9人について中国政府と協議を行いました。
 面接調査は省都だけではなく、高齢等のため調査会場に来ることの出来ない証言者の住所地を訪問するなど、調査の促進に努めました。
 共同調査の結果については、中国政府と正式文書を交した上で決定されますが、今年度新たに日本人孤児と確認された方々については、今後、報道機関等の協力を得て、孤児名簿を公開して肉親情報を収集するための情報公開調査を行い、希望する孤児は11月中旬から集団一時帰国として訪日し、永住帰国に向けたオリエンテーションや施設見学に参加し、肉親情報のあった孤児については、この間、肉親と思われる方と対面調査を行うこととしています。

★援護基金から

今年から 老後支援事業に第一歩 高齢帰国者の介護グループを後押し

 昭和21年生まれの一番若い孤児の方でも今年還暦を迎えるという時の流れに沿って、今年度(18年度)から、老後対策に一歩踏み出すことにしました。 しかし、小人数の援護基金事務局が全国に在住する高齢の帰国者(配偶者を含む)それぞれに、直接何らかの手助けをすることは不可能です。すでに、いくつかの地域で始まりつつある帰国者を意識した介護保険活用の介護事業を支援する形で取組むものです。

介護事業基盤整備援助
 高齢者の介護のため、居宅訪問介護、施設での通所介護、施設入所介護などが、介護保険の対象事業として社会福祉法人や一般の事業会社によって行われています。
 帰国者も、当然これらの事業の対象者となりますが、言葉や習慣の違いから、自宅に引き籠もりがちだという報告が関係者からなされています。
 これについては、一部のボランテイアグループで、通いやすい通所施設や居宅訪問の事業者としての団体を創ろうという動きがあり、既にNPO法人を設立し事業に乗り出したところもあります。
 介護保険を活用するには市町村の指定事業者という資格が必要で、円滑に運営できれば介護保険からの収入も見込めます。しかし、指定を受けるまでの準備段階では施設の整備、事業管理者、一定数のヘルパーの確保などにある程度の資金が必要であり、指定事業者になってからも当初は収支が安定しないことから、ボランテイアには荷が重いと言われています。
 そこで当基金は、立ち上げの準備期間から軌道に乗るまでの3年間、資金の一部を援助して基盤整備のお手伝いをします。(総額500万円、初年度350万円) この額は、白紙から立ち上げるには十分ではありません。しかし、当基金の資金は「二千円」「一万円」といった寄付金の集積ですから、500万円でも大金であり、途中で「やっぱり駄目だった」ということは極力さけたいものです。援助の条件として、団体としての資金の有無、施設や組織、人材等の目途、6ヶ月以内に市町村から業者としての指定を受ける見込み、などがあり、事務局では従来からの団体助成金とは別に、対象となる団体と十分に話し合って実施する予定です。
 また、帰国者だけでは採算がとれない可能性があるため、一般日本人をも対象にしながら、帰国者が全利用者の4割以上を見込める団体を援助対象とします。
 帰国者の集住地域に年間2団体程度、最終的に全国に5、6団体が出来ればいいと考えています。

介護団体支援事業
 すでに稼働している一般日本人中心の指定事業者で、全利用者の一定割合(数)以上の中国帰国者を対象にしたため通訳が必要になったりしている団体等には、その負担を軽減するため一部を支援します。
 ただし、援護基金一般会計より少額資産で、非営利法人(公益法人、中間法人、NPO法人等)に限ります。

生活状況調査
 介護の対象になる状況にありながら、介護保険のことをよく知らないために、そのまま自宅に引き籠もっている帰国者も少なくないと言われています。そんな帰国者の現況や、「介護」についての認識を調べる「生活状況調査」を行います。
 この調査は直接面接して、具体的な生活や健康状態、介護についての考え方を聞き、今後の帰国者の介護について考えるための資料とするものです。
 全国規模で行うことは現状では出来ませんので、いくつかの地域に限り、百人前後について調べる抽出調査にします。

ヘルパー補習事業の検討
 平成15年から始めた〈二級ヘルパー養成講座〉受講者援助では、17年度までに92人に給付しました。
 これは、帰国者二,三世の就業上の資格を付与するという目的のものですが、今後、帰国者を中心とした介護事業に活用できれば一石二鳥になります。この資格取得者がその資格をどの程度活かしているのか、5月に緊急アンケートを実施したところ、専業や兼業の形で資格を活かしていたのは回答者のうち2割だけでした。一方で、仕事をしたいが面接で落ちた、事業者に登録はしたが仕事がない、訪問介護に就いたがトラブルなどがあって辞めたなど、予想を上回る“活かされていない”実態が浮かび上がりました。
 このままでは折角の就学援助が無駄になるとの思いから、「手引書」の作成や受講修了者の多い地域では補習授業も検討することにしています。

★文化庁から

・地域日本語教育支援事業の実施−新事業の御案内

 文化庁では地域における日本語教育活動を推進するため,平成18年度より地域日本語教育支援事業を実施しています。
 昨年度までは,日本語ボランティア活動の支援・推進事業(日本語ボランティア,地域日本語支援コーディネーター研修)と,学校の余裕教室等を活用した親子参加型日本語教室を実施してきました。本年度は,地域の実情が多様化していることに伴い,人材育成,日本語教室設置運営,教材作成,連携推進活動の4分野について,関係機関との連携の推進を目標に,地域のニーズにあった意欲的で優れた事業の企画を公募し,内容を検討の上選抜を行い,実施を委嘱しています。
 尚,本事業の成果等は,文化庁のホームページ(http//:www.bunka.go.jp)又は,文化庁日本語教育大会等の場で発表,報告する予定です。

・平成18年度文化庁日本語教育大会(東京大会)の開催報告

 文化庁は平成18年度文化庁日本語教育大会(東京大会)を8月9日(水)に,昭和女子大学(東京都世田谷区)において開催しました。
 今年度は,近年文化コンテンツである漫画やアニメーション等の日本語教育への活用が注目されていることに鑑み,「日本語教育への漫画の活用について」をテーマに,研究協議を行いました。
 まず高塩至文化庁文化部長の開会の挨拶に始まり,続いて文化庁文化部国語課長から,日本語教育施策の展開についての説明がありました。その後,「漫画の力」をテーマに株式会社オタキング代表で社会評論家の岡田斗司夫さんの基調講演で,世界で注目されている日本の漫画やアニメーションの現状に加え,ほとんどの日本人があたりまえのように持っている漫画の読解力等についてお話しいただきました。
 午後は,「日本語リソースとしての漫画の活用」をテーマとしたパネルディスカッション(司会:山田泉法政大学教授,大蔵守久波多野ファミリスクール主管,加藤清方東京学芸大学教授,牧野圭一京都精華大学教授)を開催し,具体的な事例とともに漫画やイラストの日本語教育への活用について協議が行われました。続いて,「日本語教育研究協議会」を開催し,3つの分科会にわかれて,漫画・イラストを用いた言語技術教育の技法や,ITを活用した漫画の日本語学習教材,そして親子参加型日本語教室の報告等について活発な協議やワークショップ等が行われました。

(文化庁文化部国語課 中野 敦)

研修会情報

★研修会報告

「地域国際化を考える研修会2006」

(神戸中国帰国者日本語教育ボランティア協会 根津京子 植松虎雄)

 この研修会は兵庫県国際交流協会、兵庫県、NPO法人神戸定住外国人支援センター※の主催で、毎年夏に数日の日程で開かれています。研修会には地域で定住外国人の支援に様々な分野でかかわっている人たちが集まります。ボランティアだけではなく、学校の先生、福祉事務所のケースワーカー等も参加します。今年は8月18日から8月30日の間に5日間の日程で開かれました。日本語教室の夏休みを利用して、わたしたちの教室からも6人のメンバーが参加しました。
 日本の現代史が残した課題というセッションでは、『終わりなき旅?「中国残留孤児の歴史と現在」』を書かれた作家の井手孫六さんと帰国者の澤政道さんの体験を聞きました。また、在日コリアンの歴史について日韓併合以前までさかのぼり現在に至るまでの経緯をわかりやすく話していただきました。
 新たな「外国人」の移住というテーマでは、ベトナム難民、日系南米人の形成の歴史を学びました。在留資格についての知識を得ることもできました。
 各コミュニティからの現状報告では、ブラジル移民をルーツに持つ人々の状況と、ベトナム難民の抱える問題について報告されました。神戸中国帰国者日本語教育ボランティア協会からも、言葉の壁について、日本語の習得や日本社会の対応にどんな具体的な現象があるか報告しました。
 子どもの教育問題に関しては、行政、教育、NPOさまざまな立場から、就学進学問題とその取り組み、いじめや差別の問題などが報告されました。「これからも子どもたちが、親がたどってきた道を知り、自分の未来についてしっかりした考え方をもてるようにサポートしていく」というNPO代表の言葉が印象的でした。
 多文化共生にさまざまな切り口で取り組む人々の話を聞くことで、帰国者の日本語学習支援活動にどんな視点を加えるべきか、どんな知識が必要か、どんな課題があるのか目を開かされます。また、休憩時間も互いの活動を紹介しあい、情報を交換する貴重な時間です。この名刺交換で、活動の幅が広がり、仲間が増えます。主催の神戸定住外国人支援センターは日本語支援もしていますが、日本語ボランティアをわたしたちの教室と両方かけもちしている人もいます。さまざまな興味やバックグラウンドを持つ人々と連携するチャンスがつかめるこの研修会に毎年参加するのが楽しみです。

※神戸定住外国人支援センターHP http://www.social-b.net/kfc/

中国帰国者支援・交流センター〈遠隔学習課程スクーリング研修会〉

 6月29日、猛暑の中上記研修会が御徒町で開催された。この研修会は毎年開催され、今年で5回目になる。全国から37名のスクーリング講師と自治体職員11名の計48名が参加した。

 上記センター(以下首都圏センター)が毎年、研修会資料として作成し全国に配布している『スクーリングの手引き』は下記のような内容で構成されている。@支援・交流センターの遠隔学習支援と「スクーリング」について Aスクーリングの実施モデル B学習相談のポイント Cスクーリング講師の役割と留意点 D遠隔学習課程とスクーリング実施に関するよくある質問 E各コースの概要とスクーリングの方法 F各コースの活動事例:各地のスクーリング実施状況から。研修会は、首都圏センター講師と全国のスクーリング講師が一堂に集い、こうしたテーマについて話し合い理解を深めていくことを目的としている。
 午前は現在の遠隔課程受講者数やスクーリングの状況を確認した。まだスクーリングが実施されてない県や、受講者が100人を超す県、2,3人しかいない県など、実施状況は様々だ。昨年から始まった〈医療コース〉は、開講以来応募者が殺到している。現在スクーリングが実施されていない県でも、〈医療コース〉開講によりスクーリングが実施される可能性は大きく、参加者は熱心に聴講していた。
 午後は、3つの分科会で意見交換を行った。私の参加した分科会では、経験豊富なスクーリング講師と首都圏センター講師間で、「生活場面における行動や日本事情理解が目的のコースで、文法項目をどう扱うか」というテーマをめぐり議論が行われた。また各地のスクーリング実施状況の事例報告を見ながら、その中での受講者と講師のやりとりに関して、意見や感想が交換された。こうした過程を通じ、スクーリングで考慮しなければならない様々なポイントについて確認することができ、新しく講師になる人や始めて間もない講師にとっても有意義だったのではないかと感じた。

(所沢:忠政)

★研修会情報

〈第52回 全国夜間中学校研究大会〉開催

日  程:12月7日(木) 8日(金) の両全日
会  場:世田谷区砧区民会館
全 体 会:記念講演・堀尾輝久氏(元日本教育学会会長)による学習権に関する講演、生徒体験発表、日弁連への人権救済申立に関する発表(札幌遠友塾・自主夜間中学の生徒や代理人弁護士の方の話)
領域別分科会:教育内容・授業、学校行事・特別教育活動・健康教育、在日韓国・朝鮮人教育・識字教育、引揚帰国者・新渡日外国人教育、増設・教育条件・PR活動
教科別分科会:日本語A(入門)、日本語B(国語)、数学、社会科、理科、外国語(英語)
学校見学:都内及び千葉・神奈川の夜間中学校(7日夜)
参加申込み:参加費無料(但し資料代3000円)・会員以外でも参加可
学校見学希望者は必ず事前申込みを
※詳しくは大会事務局まで
ホームページによる案内あり( http://zenyachu.sakura.ne.jp/52nd/ )
連 絡 先:第52回全国夜間中学校研究大会事務局 山崎要事務局長(副校長)
足立区立第四中学校夜間学級内/TEL:03-3887-1466

多様な生徒が学ぶ夜間中学校

 夜間中学校(中学校夜間学級)は、現在8都府県に35校(生徒数2587名)あり、多様な年齢・国籍の人々を受け入れ、義務教育を保障する貴重な学びの場となっています。
 2005年9月現在の調査によれば学習者は以下のような構成になっています。

□引揚者(801名): 残留孤児や配偶者は非識字に近い人も多く生活に必要な日本語を学習。三世は進学する生徒も多い。この間最も多い層。
□日本人(598名・孤児等は除く): 戦争や経済的な理由で学校へ行けなかった中高年の人や元不登校の十代や元引きこもりの青年も。
□新渡日外国人: 難民は32名(ベトナム難民の呼び寄せ家族の他、アフガン難民も5名)。移民関係者は19名。その他の新渡日外国人は573名。日本社会の変化を反映し大幅に増加。
□在日韓国・朝鮮人(564名): 戦前、子ども時代に来日した人が多く、この間大幅に減少。

第7回 外国人児童生徒教育フォーラム

テーマ: 外国人児童生徒教育と教師−その役割と力量形成 
主催: 東京学芸大学 国際教育センター
日時/場所: 平成18年10月7日(土)/津田ホールにて
申込締め切り: 9月30日(土)
申込方法等詳しくは<東京学芸大学>国際教育センターのホームページ※参照
※http://crie.u-gakugei.ac.jp/ 

医療通訳養成講座/医療通訳コーディネーター養成講座

企画・運営:多文化共生センターきょうと
会 場:京都市国際交流会館
日時等:医療通訳養成講座
全5回 各回1000円 9/24(日)・10/7(土)・11/18(日)・12/9(土) 5回目は2007年1月中旬予定 
医療通訳コーディネーター養成講座
全4回 各回1000円 09/24(日)・10/21(土)・11/18(日)・12/16(土)
申込方法等詳しくは〈多文化共生センターきょうと〉のホームページ※参照
インターネットからの直接申込も可   ※http://www.tabunka.jp/kyoto/

教材・教育資料

中学・高校生の日本語支援を考える会編 『用例付 学習語彙5000語 日中対訳(試用版)』

2006年3月発行 B5判320頁

 本書は、日本語の初期学習を終えた、中国語を母語とするJSLの中学・高校生のための自学自習用の「辞書」教材です。
 中学・高校生であっても、それぞれの日本語力に応じた日本語支援を行う必要があることは言うまでもありません。しかし、JSLの中学・高校生にとっては、日本語支援者がいる教室だけでなく、指導者がいないところでも、継続的に自学自習することが極めて重要です。母語をある程度身につけてから来日した生徒の中には、自学自習の力を持ち、手持ちの辞書などを利用して、意欲的に学校の勉強についていこうと努力する生徒も数多くいることでしょう。しかし、日本語で教科を学習することに慣れていない中学・高校生が、日本語母語話者向けに作られた、細かな活字で膨大な数の語彙が網羅された辞書を使いこなすには様々な困難が伴い、それが、生徒の学習意欲を減退させる一因になっていると思われます。
 本書が、一般の辞書と大きく異なるのは、収録語彙が、@「教科学習において、情報を収集し、内容を比較・分析し、推測や統合するような思考活動に必要な語」、A「初級後半から中級レベルの生徒が、教科学習の中で躓きそうな語彙」という観点から選定された5000語に絞りこまれている点です。文脈の中で語彙の意味を理解し覚えられるよう、それぞれに学習場面を考慮して作られた用例文が付いています。レイアウトも、必要な語彙を容易に見つけられるように、表形式にまとめられている他、用例文にはルビが振られ、そばに指導者がいなくても自学自習できるよう配慮されています。

*尚、本書は「試用版」であり、実際の使い勝手等に関する意見やアドバイスなどを受けて、1年後に「改訂版」が出版される予定とのことです。

【入手方法】1冊1000円。送料は、1冊=210円、2・3冊=450円、4・5冊=590円、6冊以上無料。
       メールまたは葉書で、住所・氏名と購入冊数を連絡してください。
       郵便振込み用紙とともに、希望冊数が郵送されます。
       あて先:〒221-0812 横浜市神奈川区平川町19-2 県立神奈川総合高校 樋口万喜子
       問い合わせ先:樋口万喜子(makiko-h@e02.itscom.net)

教材リスト『日本語習得の支援−既成教材からテキストを選ぶときのために−』(第2版)

発行:おおさか識字・日本語センター(CALL JSL)2006年2月(初版は2002年)A4判22頁

 日本語学習のための教材には様々なものがありますが、その中から学習者のニーズやレベルに合ったものを探すのはなかなか難しいものです。このリストは、日本語学習支援者が教材を選ぶときの参考になるよう、教材が目的別(文字が読めなくても使用できるもの・文法・会話・聞き取り・日本事情・子どものための教材等)に分類されており、さらに出版社・価格・学習者の日本語レベル・媒介語・付属教材のほか、備考欄には内容や構成等の簡単な説明もついていて、わかりやすくまとまっています。
 このリストは以下のサイト内、「ボランティアのへや」→「指導者用資料が読みたい」→「日本語習得の支援」からご覧いただけます。
http://www.call-jsl.jp/index.html
 ここには、このリストが掲載されている「ボランティアのへや」の他にも、「きょうしつしょうかい」(大阪府内の日本語教室の連絡先・地図・日時・参加費・主な学習者等)、「中学校夜間教室」(授業料・生徒・学校紹介等)、「きょうざいしゅう」(自作教材)などもあり、充実した内容になっています。

『外国人日本語学習者のための地震マニュアル(改訂版)』

A4判44頁(2006年7月発行)

 名古屋YWCA日本語教師養成講座の修了生が中心となって結成したボランティアグループ「にほんご教育の八の会」が、このほど地震マニュアルを作成しました。この本は、いざ地震が起きた時どう行動するかを外国人住民と日本人が共に考えるための教材・資料で、地震に関する基本的な語彙や基礎知識を盛り込んだものです。いろいろな場所で地震に遭遇したらどうするか、日頃からどんな準備をするか、また、地震はどうして起こるかという知識や、地域の情況を反映して東海地震に関する情報が、いずれも簡単なルビ付きの日本語で載っています。情報の右ページに語彙が載っていて、英語・スペイン語・ポルトガル語のものと、英語・中国語・ハングルのものがあります。

購入希望の方は
  1)返信用封筒(A4の封筒に申込者の郵便番号、住所、氏名を明記)
  2)定額小為替(郵送料を含めて1冊につき1000円)
  3)申込書(メールで取り寄せ可)
を同封の上、下記の連絡先までお送りください。
〒468-0051 名古屋市天白区植田三丁目1501番地 シティコーポ植田A-307松本方
「にほんご教育の八の会」事務局  mail: m06k014@nanzan-u.ac.jp

 なお「にほんご教育の八の会」では、外国人住民が日本で怪我をしたり、病気になったりした場合の対処について解説した『日本語学習者のための救急マニュアル』も作成、上記と同様に申し込みを受け付けています。

とん・とん インフォメーション

 当センターでは今年も ホームページ http://www.kikokusha-center.or.jp ※にて
  ●《大学入試情報(帰国者特別枠)》随時更新中
  ※「進学進路支援情報」コーナー「中国帰国子女等特別枠のある大学のホームページ一覧」

  ●《2006年 全国の高校入試特別措置・中学校編入関係情報》も10月下旬掲載予定
  現在、各都道府県教育委員会への問い合わせ作業進行中。
  ※「進学進路支援情報」コーナー
  「全国中国帰国生徒等の高校入試特別措置情報」/「全国中国帰国生徒等の中学校編入関係情報」

日本語教室一覧

最近 地域の日本語教室一覧が冊子としてまとめられたものを紹介します。
@作成者 A冊子の入手・閲覧方法 

★北海道 『日本語ボランティア教室マップ』

@北海道日本語教育ネットワーク
A札幌国際プラザと北海道日本語教育ネットワークリソースセンター(道庁別館12階北方圈センター内)で閲覧可能
※一部が北海道日本語教育ネットワークのホームページで見られます http://www12.plala.or.jp/hokjpnet/

★埼玉県 『日本語教室一覧2005』(A4横とじ11ページ)

@埼玉日本語ネットワーク
A埼玉県国際交流協会にて無料配布
※財団法人埼玉県国際交流協会のホームページで見られます(http://www.sia1.jp/)

★千葉県『あなたの町の日本語教室』(第3版)2004年

@房総日本語ボランティアネットワーク
A千葉県国際交流センターに問い合わせ(043−297-0245)
※財団法人ちば国際コンベンションビューロのホームページにも掲載されています (http://www.mcic.or.jp/ )

『2005年度外国人の子どもの就学状況実態調査報告書』

2006年3月発行 A4判170頁

 外国人の子どもの教育と人権ネットワーク(人権NGO団体)では、2005年度に外国人の子どもの就学状況実態について、愛知県下72市町村教育委員会への聞き取り調査を行い、その結果をまとめました。内容は、外国人の子どもの在籍状況、教育体制の現状、日本語教育や通訳支援の状況、また、不就学問題、問題解決に向けての提言をまとめたもの、過去の調査結果との比較、教育行政や学校での取り組みや多文化共生社会実現に向けた活動などの紹介等、さまざまな立場の支援者が活用できる基礎資料となっています。
調査の報告書は、1000円(送料別)で購入できます。購入方法については
URL:http://homepage2.nifty.com/needforce
〈外国人の教育と人権ネットワーク〉→就学状況実態調査→2005年度調査報告書の紹介をご覧下さい。

〈外国人児童・生徒の日本語指導のあり方に関する調査研究〉

 NPO法人「外国人の子どものための勉強会」が千葉県との協働事業として16年度に行った調査の詳細が、以下のサイトで閲覧できます。日本語指導の他、教科指導も視野に入れた内容になっています。
http://www.pref.chiba.jp/kyouiku/gaikoku/gaikoku.html

ビデオ:『時は流れて 遙かなる満州』、『捨てられた孤児たちの証言』

 山形県中国帰国者自立研修センターの近くにお住まいの成川隆一さんが作られた2つのビデオを紹介します。成川さんは、3分の2におよぶ開拓民が逃避行中に亡くなったという北靠山屯開拓団について山形市在住の元団員の証言で知り、証言者の高齢化が進む中、苦難の体験を音と映像で残そうと決意。奥さんにカメラ技術を教え、夫婦で旧満州に取材に渡りました。前者の作品は二度の訪中取材の後制作された、満州開拓民の苦難の道のりを記録したものです。
 その取材の過程で山形県出身の中国帰国者の存在を知った成川さんが、山形センターで研修している皆さんに取材を申し込み、個々に行ったインタビューに基づいて作られたのが後者です。このビデオは@山形センターで中国残留邦人の方々に成川さんが行ったインタビュー、A成川さん夫妻が訪中して撮影した、かつて日本から渡った人々が開拓した農村の現代の姿、B歴史的資料としての当時のニュース映像の三つの部分から成り立っています。帰国者の方々は当時10歳前後であったため、記憶がはっきりしており、成川さんとのやりとりの中で語られた辛い体験の数々は貴重な歴史の証言となっています。

ビデオ申し込み先:〒990-2321 山形市桜田東2−13−35 成川 隆一
〈ビデオテープまたはDVD〉の別を明記の上、送付先住所・電話番号を書いてお申し込みください。頒価はどちらも千円+送料(500円)です。

『2004シンポジウム報告 中国残留日本人孤児の過去、現在、未来−「残留孤児問題」の総括と展望−』

A4判124頁(2006年3月発行)

 2004年11月に東京(会場:早稲田大学)で中国残留孤児問題に関わっている様々な分野の人々が集まってシンポジウムが開かれました。パネリスト及び発表内容は以下の通りです。

  竹川英幸(大阪中国帰国者センター理事長)「残留孤児支援政策の総括」
  小林悦夫(中国帰国者定着促進センター)「所沢センター日本語教育の取り組み」
  大橋春美(長野県鬼無里中学校教諭)「帰国者二、三世の教育問題と将来の展望」
  庵谷 馨(中国帰国者問題同友会代表幹部)「残留邦人問題の根底にあるもの−国の責任と行政施策の問題」
  大久保真紀(朝日新聞社編集委員)「中国残留邦人たちのいま」

発表の後の討論は第2章にまとめられています。
また、参考資料として、「東京地方裁判所への“意見書”」(庵谷馨)、「満洲移民の問いかけるもの」(蘭信三)、「“中国帰国者”の歴史的形成」(南誠)、参考新聞記事(大久保真紀)も、収められています。

入手希望の方はメール、またはFAXでご連絡ください。送料のみ自己負担(着払い)。
京都大学国際交流センター 蘭信三
Fax:075-753-2562 
E-mail:araragi@ryu.mbox.media.kyoto-u.ac.jp

ニュース記事から

ニュース記事から 2006.05.13〜2006.09.10

2006/05/13 ロシア・サハリン残留邦人の第31次一時帰国団29名が12日 稚内着
2006/05/24 中国残留孤児国家賠償訴訟 札幌訴訟の原告団40人が23日デモ行進
2006/05/24 中国残留孤児国家賠償訴訟 〈東京地裁〉で結審 判決は来年1月30日
2006/06/25 日本人約105万人の輸送拠点となった遼寧省葫盧島市で引き揚げ開始60周年記念式典
2006/06/28 ロシア残留の中川義照さん 61年ぶりにロシアで妹と再会 7月2日一時帰国へ
2006/07/15 残留孤児訴訟〈神戸地裁〉14日結審(原告65名)
2006/07/21 残留孤児訴訟 19日に〈広島地裁〉で口頭弁論(県内61人) 地裁の意向 判決は来年4月に
2006/08/10 「中部日中友好手をつなぐ会」 残留孤児にグループホーム 長野・阿智村に来春開設
2006/08/11 日弁連 自治体への夜間中学の設置指導などを求める意見書を文科省に提出
2006/08/16 「つらい思いさせないで」 残留孤児ら高知市で集会 首相靖国参拝に抗議
2006/08/25 「東海・北陸中国帰国者支援・交流センター」・「中国・四国中国帰国者支援・交流センター」9月1日開所 ※本紙6頁で紹介
2006/08/29 中川村開拓団:旧満州での逃避行 秩父の吉岡宏子さん『はだしの敗走』出版/埼玉
2006/09/10 〈元中国残留婦人〉血縁のない家族18人 定住認められ来日

事例紹介

夢ではなくなった「通訳案内業試験に合格A」

 支援・交流センター発行の『天天好日』第27(本紙36号で紹介)、28号で、二人の帰国者2・3世による「通訳ガイド試験」体験記が掲載されて以来、問い合わせの電話やメールが20件を超えているとのこと。2・3世のこの資格に対する関心の高さをうかがわせる。問い合わせは圧倒的に30代のキャリア志向の女性が多かったという。寄せられた感想をいくつか紹介すると:

 「今は中国語とは関係のない仕事をしている。ずっとこの試験には興味があったが、私には所詮無理だと思っていた。福田さんの合格体験記を読んでたいへん感動した。何年かかっても挑戦したいと思う。」女性
 「子育てが何とか一段落したところです。中国語の力を活かせることを何かやれればいいなと思っていたけれど、具体的にどうしたらいいか見つけられなかった。これで目標ができた」:主婦・女性
 「会社では通訳や翻訳の仕事を頼まれることが多い。でも、身分は契約社員なので、いつ解雇されるかもわからず、心配です。だから、国家資格を取り、安定したポジションを確保したいです」:自動車メーカー勤務・女性
 「旅行関係の仕事をしている。去年、旅行業務取扱主任者の資格が取れたので、次はガイド試験を取りたい」女性

 「通訳ガイド試験」は我が国において唯一の外国語の正式な国家試験である。そのため、長い間、この試験にパスし資格を取得することは至難の技とされていた。ところが、国の観光立国政策推進のため、ガイドを増やすという意向を反映して、邦文試験は一昨年からマークシート方式に、さらに今年から科目制となり、難易度も下がってきており、最近ではこの難攻不落の牙城にも変化の兆しが現れてきているようだ。
 科目制の導入により、万が一試験が不合格になったとしても、合格した科目は次年度には免除されるので、学習ポイントがより絞り易くなり、復習時間も省ける。数ヶ月の集中学習を経て二回目の受験で合格を目指すなど、受験者は自身の状況に合わせて、学習計画が立てられるようになった。『天天好日』28号に手記を載せたTさんは「基本事項さえしっかり押さえておけば、きっと合格できるはず。」とエールを送る。
 「通訳ガイド試験」の具体的な内容は語学(中国語)と邦文試験(日本地理・歴史・一般常識)の二つに分類される。語学試験では中文和訳が大きなウェートを占めていて、Tさんの経験では、適切な訳文ができるかどうかは、翻訳のテクニックよりも単語、文型を中心に基礎を固めることが大切である。また邦文試験は広範囲のため、的を絞るには『重要事項のまとめ 日本地理・日本歴史』、『重要事項のまとめ 産業・経済・政治・文化』(ともにハロー通訳アカデミー発行)、『日経新聞』などが非常に役に立つようである。
 Tさんは具体的な勉強法についても「コツ」を紹介してくれている。

@『通訳案内業(ガイド)試験中国語過去問解説』(法学書院発行)を勉強するとき:
わからない所をマークしつつ、どんどん読み飛ばして、まず、全体を通してやってみる。そのあとでマークした箇所を何日かに分けて少しずつ調べたり、先生に質問したりする方法が効率的である。
Aどのように記憶するか:
苦手な科目を楽しく続けるために、とにかく無理に暗記をしないで、同じ内容を時代、テーマ、地域別等違った視点から、何回もやる。個々の歴史事件だけでなく、流れを重視した勉強が大切である。
B疲れや倦怠感の克服方法:
図書館のビデオブースで、日本の歴史や大自然に関するビテオを観る。昔の貴重な映像、迫力のある自然風景が、疲れを飛ばし、気分転換となる。等々

 Tさんのような夢をもつ若い帰国者が身近にいたり、資格取得についての相談を受けたりする機会が多い支援者、またTさんの具体的な「学習方法」に興味がある方は、中国帰国者支援・交流センター開設ホームページの〈『天天好日』「資格を取ろう」シリーズ〉
(http://www.sien-center.or.jp/magazine/index.html)に一度アクセスしてみることを是非お勧めしたい。

(小松)