HOME > 支援情報 > 機関紙「同声同気」 > 第33号(2005年5月25日発行)  PDFファイル
地域情報ア・ラ・カルト
 九州中国帰国者支援・交流センター
 再研修の現場から〈長野県中国帰国者自立研修センター〉
 2005年度の進路ガイダンス情報
行政・施策
 厚生労働省から
  平成17年度予算・訪中補充調査・生活実態調査等
 援護基金から ホームページ開設のお知らせ
 文化庁から 地域日本語教育に関する事業の実施
研修会情報
 ★研修会報告
  「年少者日本語教育学を考える会」第2回研究集会
 ★研修会情報
教材・教育資料
 学習情報:中国帰国者支援・交流センター〈遠隔学習課程(通信教育)〉
 『中国人と小学校教師のための学校生活まるごとガイド(中国語訳つき)』
 『やってみよう 参加型学習!日本語教室のための4つの手法〜理念と実践〜』
 『母語学習と人材育成「友達はいらない」―但是我想要「朋友」』
とん・とんインフォメーション
 厚生労働省「中国帰国者生活実態調査」結果の概要
 ホームページ紹介:豊橋市教育委員会/可児市市役所のHP−外国人児童生徒教育資料
ニュース記事から 2004.9.11〜2005.1.10

個人情報について

 読者の皆様には、中国帰国者支援活動にご理解・ご協力をいただき、感謝申し上げます。このNLは、身元引受人・自立指導員・各自治体関係者・帰国二世三世転入先学校、帰国者や定住型外国人の学習支援者等の皆様に無料で配布させていただいています。
 今年4月の個人情報保護法の施行に伴い、皆様の住所氏名のデータ管理にはよりいっそうの注意を払っております。もし送付が不要の場合、もしくは送られてくる理由がなく疑問に思われる場合は、その旨お申し出ください。データから削除いたします。個人情報は厳重に管理してまいりますので、今後ともよろしくお願いします。

(センター教務課講師会 個人情報担当)

地域情報ア・ラ・カルト

九州中国帰国者支援・交流センター

 九州中国帰国者支援・交流センターは、既に設置されている首都圏、近畿圏の支援・交流センターに続き、昨年の6月に開設しました。
 特に、スタッフについては、昨年3月にその役割を終えて閉所となった福岡中国帰国者定着促進センターに勤務していたベテラン職員などを加え、新規開設した当センターの支援活動が円滑に行えるような体制に整えました。
 受講生の皆さんは、帰国者1〜3世までさまざまですが、学習態度はいたって真面目で、真剣そのものです。帰国者の日本語能力は人によってまちまちであるため、それぞれ自分にあった学習コースで勉強できるようにしています。中でも主に1世を対象とした「ゆっくり日本語講座」は定員をはるかに超える申し込みがあり、急きょクラスを二つつくることにしました。帰国者1世の方のがんばる姿を見るのは、講師にとっても励みになります。
 また、パソコン授業につきましては、帰国者2世の方に講師をしていただいています。日本に帰国し一生懸命努力して、この講師の職についたということも、2世3世の若い帰国者にとってはかなり刺激になるようです。日本に帰国しても頑張ればこういった道があるのだというように、職業選択の一つの指針になっているのではないかと思います。
 それから、当センターには「交流サロン」が設けられています。衛生テレビ、中国語の新聞、雑誌、書籍等を備え、帰国者が様々な情報を得ることができるよう努めています。また、中国将棋等娯楽用品や、福岡中国帰国者定着促進センターのアルバムも置き、帰国者にくつろいでもらえるようにしました。日本文化を気軽に味わってもらうため、サロンで茶道を楽しむこともできるようにしています。
 学習とは別に、帰国者同士での会話や昼休みのお食事どきなど、勉強以外にも帰国者同士のふれあいの場が自然にもたれていくことは、すばらしいことだと思います。帰国者同士でも日頃はなかなか会う機会がなく、中には20数年ぶりに再会したという方もいらっしゃいました。このセンターを帰国者の再会の場として提供できることも嬉しいかぎりです。
 また、サロンではボランティアを募り、日頃なかなか生きた日本語を使う機会がない帰国者のために、登録していただいたボランティアの方と中国帰国者の方がペアになって、定期的に日本語の会話を練習する、というようなこともやっています。
 その他にも交流事業ということで、新年度から新たに「大正琴講座」を開講しましたが、皆さん覚えが早く、1回目の講座で早くも曲が弾けるようになり、先生からも「筋がいい」とお褒めの言葉をいただきました。「難しかったけれど、とても楽しかった」、「この次の練習日が待ち遠しい」と言う帰国者の笑顔は輝いてみえました。もっと上手になって、いつの日か演奏会に出演して、多くの方から拍手喝采をいただけるようになればいいなと願っています。
 当センターの生活・就労相談事業も次第に帰国者の間に浸透し、相談内容も就労や進学等多岐にわたるようになってきました。2年目を迎える今年度からは、講座内容を更に充実させるとともに交流事業の積極的な展開を図っていくこととし、職員一同また心を新たにして、帰国者の自立支援、交流促進への取り組みを一層深めて参りたいと考えています。

(企画主任 後藤美香)

☆再研修の現場から 長野県中国帰国者自立研修センター

再研修〈サロン講座〉紹介

「小学生とギョーザ作りで交流」
 昨年11月、信州大学附属長野小学校4年3組の児童に水ギョーザ作りを教えるサロン教室を開きました。このクラスは中国の小学校と絵手紙で交流をしていて、センターがその翻訳を頼まれたのがきっかけで交流が始まりました。前回までは児童から絵手紙を教えてもらっていましたが、今回はそのお礼として水ギョーザをいっしょに作ることになりました。児童たちは小さな手で一生懸命皮をのばし、具を包む作業に挑戦しました。
 また、子どもたちは中国と絵手紙交流を続けていく中で、中国語を覚えたいと信州大学の留学生を招いて中国語も習い始めました。給食の時間にはギョーザをいっしょに食べながら覚えたての中国語で自己紹介をしたり、中国語の歌を披露してくれるなどアイデアいっぱいの歓迎を受けました。お孫さんの車の送迎で遠方から参加した帰国者一世のSさん(74)は「ギョーザは正月や来客時によく作った」と懐かしんでいました。
 児童からは、参加した帰国者全員に絵手紙と、クラスのお母さんからは手作りの心のこもったアクセサリーをプレゼントしていただき、帰国者が地域で暖かく迎え入れられていることに感激しました。

「マレットゴルフと温泉で交流」
 喬木教室のサロン講座2004年の12月例会は、12月16日(木)午前10時30分から、下伊那郡の信州松川温泉、清流苑マレットゴルフ場に、42名の帰国者と、ボランティアの飯田日中友好協会員ら、合わせて50名が参加して盛大に行われました。
 この年最後のサロン講座ということで、帰国者の中には長野県最南端の泰阜村や、西部の阿智村からも、バスや電車を乗りついで、伊那大島駅に到着、清流苑の特別の計らいで、バスの送迎をしていただき、紅葉の残る初冬のゴルフ場で、楽しそうに競技に熱中していました。
 日頃は家の中にとじこもっていて、人前にあまり出たがらなかったお年寄りや、病気がちで家にこもっていた人達も、この日の小春日和の快晴に恵まれて、大声で中国語の会話もはずみ、初めてボ−ルにさわった人、ホ−ルインワンを達成して喜ぶ人など、帰国してからの積もる話に花を咲かせました。

(長野県日中友好協会HPより転載)

2005年度の進路ガイダンス情報

【北海道】
7月30日(土)
札幌市《札幌子ども日本語クラブ 中垣正史 TEL 011-231-3392/FAX 011-231-3666 》

【長野】
8月下旬〜9月の日曜日に県内4地区で開催(詳細未定)
《(財)長野県国際交流推進協会 春原・片山TEL 026-235-7186》

【東京都】
6月26日(日)
東京ボランティアセンター
《多文化共生センター・東京21 TEL・FAX 03-3801-7127 e-mail tokyo@tabunka.jp

【静岡】
5月29日(日)浜松市
《浜松NPOネットワークセンター(N-Pocket)  TEL&FAX:053-459-1558》
(http://www.n-pocket.jp/ 「外国人のための高校進学ガイダンス」より)

【埼玉】
@7月10日(日)川越市
A7月18日(月:海の日)本庄市
B9月11日(日)さいたま市
C10月中旬 越谷市
《埼玉県国際交流協会事業課  TEL 048-833-2992/FAX 048-833-3291》

【大阪】
開催決定
詳細がわかり次第、当センターHP※に掲載予定

【神奈川】
@9月23日(金) 横浜市
A10月上中旬の土日 平塚市、相模原市、横浜市泉区で開催予定(詳細未定)
《高橋清樹 045-942-5202》

【奈良】
@ 9月16日(金)生駒市
A 9月30日(金)北葛城郡
《奈良県外国人教育研究会  TEL 0742-62-5555/FAX 0742-62-5568》

【千葉】
@10月1日(土) 千葉市 
A10月15日(土)船橋市
B10月16日(土) 柏市
《長澤 043-290-2568、白谷 043-424-4364》

【三重】
7月31日(日) 津市(詳細未定)
《津市教育委員会人権教育課 TEL 059-229-3253》

【福岡】
7月30日(土) 福岡市(福岡県教育会館)
《九州大学大学院 吉谷武志研究室 TEL・FAX 092-642-3150》

※今年度も、新たな情報が入り次第、当センターHP にて紹介していく予定です。
当センターHP コンテンツガイド〈進学進路支援情報〉→「高校進学ガイダンス情報」→ ◆2005各地の情報(追加情報)

行政・施策

★厚生労働省から

1.平成17年度 中国残留邦人等の援護対策予算の概要

平成16年度予算額 平成17年度予算案
1,645百万円 1,562百万円

@永住帰国者援護

1,126百万円 1,063百万円
72世帯328人 62世帯281人
(うち 樺太等
12世帯54人

12世帯54人)

A一時帰国者援護

150百万円 151百万円
202世帯292人 202世帯292人
(うち 樺太等
122世帯169人

122世帯169人)

B肉親調査

87百万円 71百万円

C樺太等現地調査

5百万円 5百万円

D中国帰国者支援・交流センター

277百万円 272百万円

2.訪中補充調査の実施について

 平成16年度共同調査において、調査会場に出席できなかった証言者等に対する面接調査のため、去る2月20日から3週間にわたり補充調査を実施しました。
 補充調査は、証言者等の高齢化にかんがみ、例年7月頃実施している共同調査に加えて、平成15年度からは職員が証言者等の住所地を訪問して行っているもので、今回で3回目となります。
 今回の調査は、黒竜江省斉斉哈爾市、遼寧省瀋陽市・法庫県、吉林省敦化市、山東省青島市、内蒙古自治区牙克石市・海拉爾市、北京市において、13人の証言者に対する面接調査を行うとともに、中国政府と協議を行いました。
 平成17年度の共同調査についても7月の実施を予定しておりますが、上記補充調査の結果を含め、日中共同による面接調査及び協議により、新たに中国残留日本人孤児と確認された者については、昨年度と同様に、情報公開調査により肉親情報を求め、集団一時帰国及び対面調査を行うこととしております。

3.中国帰国者生活実態調査について

 この調査は、昭和47年9月の日中国交正常化以降、平成15年3月31日までに永住帰国した中国帰国者本人のうち、中国帰国者定着促進センターに入所中の者及び永住帰国後に死亡した者等を除いた5,208人を対象に、平成15年4月1日を基準日として実施し、回答のあった4,094人(回収率78.6%)について取りまとめたものです。(この調査結果の概要については、本紙10頁にて紹介)
 なお、これまでの調査は帰国後10年以内の者や孤児のみなど、対象者を限定して実施していましたが、今回は日中国交正常化以降の全ての帰国者を対象として実施した初めての調査です。(したがって、調査結果についてはこれまでのものと単純比較することはできないものです。)

4.平成16年度 身元引受人・自立指導員研修会

 同研修会は、平成17年2月14日から15日の2日間にわたり奈良県で開催し、全体会議及びグループ討議を行いました。
 1日目は、全体会議として、厚生労働省による中国残留邦人等に対する援護施策の説明と第一福祉大学講師名和田澄子先生による講演のあと、グループに分かれて身元引受人及び自立指導員によるグループ討議を実施しました。
 2日目は、前日の討議内容の発表と厚生労働省への質疑応答を行いました。
 今年度の研修会は、昨年度と同様、身元引受人と自立指導員との合同研修会とし、グループ討議では「身元引受人・自立指導員の連携について」というテーマに基づき、それぞれの役割分担や効果的な連携方法等についての意見交換、身元引受人や自立指導員の方々が日頃抱えている諸問題等の対処方法について話し合いを行いました。

5.平成16年度中国帰国者指導職員等専門研修会

 平成17年3月3日、4日の2日間東京で開催し、中国帰国者定着促進センター職員4名、自立研修センター職員31名、支援・交流センター職員6名、自立指導員23名、就労相談員6名、都道府県職員19名、厚生労働省職員9名が参加しました。
 研修会では、ホリスティック教育実践研究所所長の金香百合先生による「中国帰国者 自立支援に寄り添うための援助者の基本的概念〜ホリスティック・アプローチ(総合的取り組み)の視点で自己分析する〜」と題する講演を行いました。
 また、出席者を6グループに分け、日本語指導、生活指導、就労等の諸問題について意見交換を行いました。

★援護基金から

ホームページ開設のお知らせ

 平成17年3月30日、援護基金のホームページが開設されました。できたばかりの手作りホームページですが、ご覧ください。援護基金で出版している教材一覧表も掲載しておりますので、購入の際の参考にご活用ください。
 ホームページアドレス http://www.engokikin.or.jp/

★文化庁から

地域日本語教育に関する事業の実施

 文化庁では,地域の日本語教育活動の充実を図るため,地域の実情に応じた事業を実施してきました。平成17年度においても「日本語ボランティア研修事業」,「地域日本語支援コーディネータ研修事業」,そして「学校の余裕教室等を活用した親子参加型日本語教室の開設事業」を実施します。ここでは上の3つの事業について,実施状況と内容について簡単に御説明します。

(1)「日本語ボランティア研修事業」は,地域在住外国人に日本語学習支援を行っている日本語ボランティアの活動現場における実践能力の向上を目的に実施しています。平成15年度から社団法人国際日本語普及協会に委嘱して行っている事業で,平成16年度は5地域で実施されました。
 以下の2コースが設定されていますが,地域の需要に応じてAコース,Bコースのどちらかが選択され研修内容が計画されます。
 A:総合コース(中級レベルの日本語指導能力向上研修)−日本語教育事情,異文化理解,日本語の構造,教材副教材の活用法,等。
 B:テーマ別コース(特定のテーマに関する目的のための能力向上を目指す研修)
 @年少者に対する日本語教育に重点を置いた事例−日本語教育が必要な外国人児童・生徒の現状,子供に応じた教え方,等。
 A教材・副教材の活用法と作成法に重点を置いた事例−教材について,教材の作成法,教材副教材の活用法,等。

(2)「地域日本語支援コーディネータ研修事業」は,地域の日本語教育で中核的な役割を果たす人材の育成を目的として実施しています。平成13年度から社団法人国際日本語普及協会に委嘱して行っている事業で,平成16年度は7地域で実施されました。
 以下の3コースが設定されていますが,地域の需要に応じてAコース,Bコース,Cコースのいずれかが選択され研修内容が計画されます。
 A:コーディネータ経験者コース
  −日本語コーディネータの質的向上を目指し,外国人支援体制を如何に整えるか,等。
 B:日本語指導者経験者コース(コーディネータ未経験者)
  −地域コーディネータと求められる能力,地域の日本語支援と日本語教育,等。
 C:外国人支援経験者(コーディネータ経験及び日本語指導経験なし)
  −地域コーディネータとは,地域の日本語支援と日本語教育,等。

(3)「学校の余裕教室等を活用した親子参加型日本語教室の開設事業」は,幼い子供を抱える外国人の親の日本語学習を支援するとともに,子供たちが幼い頃から日本語に親しむことができるよう,外国人の親と子が共に学ぶことのできる学習機会を提供することで,地域における日本語教育の一層の充実を図ると共に,外国人との相互理解や日本語支援関係者の連携関係を促進することを目的として実施しています。
 平成14年度から行っている事業で,平成16年度は18地域で実施されました。

(文化庁文化部国語課 日本語教育調査官:中野敦)

研修会情報

★ 研修会報告

年少者日本語教育学を考える会 第2回研究集会

 2005年2月27日、「年少者日本語教育学を考える会」第2回研究集会に参加した。同会は、年少者日本語教育実践者、行政担当者及び研究者等、「日本語を母語としない子どもたち」の教育に関わる人の「共通の議論の場」を形成することを目的に開かれたものである。
 第一部では、「南米出身の子どもに対する日本語学習支援活動を支える人・もの・関係性」と題するケースパネルが行われた。日本の学校に通っていない、いわゆる「不就学」の子どもたちが通っている浜松市の「カナリーニョ教室」、群馬県内のペルー人学校といった集住地域における外国人学校現場からの現状・実践報告があり、それに基づく議論が展開された。第二部では、三つの会場に分かれて、国際学級におけるトピック型JSLカリキュラムの実践や漢字指導、高校進学ガイダンス、在籍学級で学び合うコミュニケーション能力の育成など、全部で11の研究発表が行われた。
 第1部、第2部を通じて議論されたことは、日本語支援実践方法、行政や親、地域との連携、学校現場での連携等、多岐にわたり、また、参加者も、小中高等学校での日本語教育担当教員、地域のボランティア、大学院生など様々であった。しかし、「子どもを中心に考える」という視点に立って実践を率直に語りあうことを通じて、子どもたちが学ぶ場をどう整備するか、そして、子どもたちの教室内外での学びをどう作っていくか、という年少者日本語教育に共通するテーマを改めて共有することができたように思う。今後の展開にも注目していきたい。

(所沢:齋藤)

★ 研修会情報

8月5日(金) 母語・継承語・バイリンガル教育研究会(第5回)

詳細は、http://www.notredame.ac.jp/~eyukawa/heritage/#top に掲載予定

全海研(全国海外子女教育国際理解教育)研究協議大会

開催日:8月1日(月) 8月2日(火)
場所:東京女学館(渋谷区広尾3-7-16)
参加費:5000円(一般)3000円(会員)
申し込み先:FAX: 03-5696-3358 または E-Mail: info1@zenkaiken.net へ
氏名(読み)、勤務先住所・電話、参加希望別分科会記入

東京学芸大学 国際教育センター 第6回 外国人児童生徒フォーラム

開催日:8月27日(土)
問合せ先:FAX: 042-329-7722 または E-Mail: c-event@u-gakugei.ac.jp

第2回 東京の日本語教育、日本語学級を考える集い

開催日:5月29日(日)
会場:すみだ中小企業センター(墨田区文花1-19-1)
詳しくは当センターHPの研修会情報〈子どもメール新情報〉コーナー

教材・教育資料

学習情報:中国帰国者支援・交流センター〈遠隔学習課程〉

〈遠隔学習課程〉は、全国各地の帰国者が“いつでもどこでも”学習できるよう設けられた「通信教育」の課程です。先に27号で紹介しましたが、その後新設されたコース(○新の印のついたもの)を含め、2005年5月現在 開講されているコースをご紹介します。
中国帰国者向けには

入門日本語文法文型コースT・U○新 生活場面日本語「消費生活」コースT・U○新
近隣交際会話コース T・U 漢字学習コースT・U
就職対応コース 職業訓練校入校「中卒程度 数学コースT・U
漢字ゆっくり Aコース T・U 職業訓練校入校「高卒程度 数学」コースT・U
漢字ゆっくり Bコース T・U 職業訓練校入校「中卒程度 国語」コースT・U
読解の基礎コース 職業訓練校入校「高卒程度 国語」コースT・U※
ホームヘルパー受講準備コース 運転免許学科試験対応コースT・U※

サハリン帰国者向けには

〈漢字学習コース(1)T・U〉○新 〈就職対応コース〉○新
〈漢字学習コース(2)T・U〉○新 〈近隣交際会話コースT・U〉○新

各コースの詳細は支援・交流センターのHP
http://www.sien-center.or.jp/study/far.htmlをご覧ください。
問い合わせ先:Tel 03-5807-3173 Fax 03-5807-3174

授業料、教材費
 どのコースも授業料は無料ですが、テストや課題などを返送する際の郵送料は受講生の自己負担となります。また、帰国者1世世代(孤児本人とその配偶者)は教材費が免除されます。2、3世は、標準コース一律1000円、特別コース(上記の※印のコース)2000円を自己負担し、残額を援護基金が援助します。
 なお、教材については、帰国者以外の方でも定価で購入することが出来ますので、詳しくは 本紙30号(9〜11頁)をご参照ください。

『中国人と小学校教師のための学校生活まるごとガイド』

 2003年に発行された「ポルトガル語版」に続いて、2005年3月に「中国語版」が発行されました。〈日本の学校制度、小学校の1年・1日、編入など各種手続き、参考資料〉で構成された日本の学校について情報を得るためのガイドブックです。対訳形式なので、学校関係者と中国人児童や保護者が意思を疎通する際に、指さしながら利用することもできます。
 また各章の終わりの〈日本語学習のヒント〉は、日本語学習中の保護者がこのガイドブックで得た知識を使って、周りの日本人に日本語で働きかけるきっかけともなるでしょう。支援者の方が本書を使用される場合はこの部分を取りあげ、学習活動のための教材や素材として利用することも可能だと思われます。中国語版では、このコーナーで漢字圏出身であることの利点を生かす工夫もされています。
 初めて日本の学校に子どもを通わせる中国人の保護者のためだけでなく、受け入れることになった学校関係者、日本語学習支援者にも助けとなる一冊です。

発行:スリーエーネットワーク
著者:須藤とみゑ、池上摩希子
定価 1500円+税(A5判 199ページ)

『やってみよう 参加型学習! 日本語教室のための4つの手法 〜理念と実践〜』

 参加する外国人が「生徒」としてではなく「一人の人間」として受け入れられ発言ができるような日本語教室。地域の人々と対等で豊かな人間関係を作っていける入口となれるような日本語教室。そんな教室を目指して導入した「参加型学習」について、四年にわたる成果をまとめたものが本書である。理念編と実践編の二部からなっており、理念編では、「参加型学習」の手法と理念、地域の日本語教室との関連について解説されている。実践編では、主に「参加型学習」の四つの手法:「部屋の四隅」「フォトランゲージ」「いいとこさがし」「2頭のロバ」について、実践例が二つずつ紹介されている。活動そのものを詳しくたどることで、実際の進め方や留意点、(教師ではなく)ファシリテーター(※注)や支援者の役割がわかるようになっている。また、参加者それぞれの発言や感想などから、「参加型学習」の活動の様子や雰囲気、活動によって参加者が得たものが容易に想像できる内容となっている。
 「参加型学習」は地域の日本語教室のあり方を考え直すうえで多くのヒントを与えてくれるが、本書は現場を異にする者にとっても、教師/支援者としての自分の有り様や学習者とのやりとりを振り返ったり、教室活動を工夫したりするうえでのヒントが得られる本となっている。

※注 ファシリテーター:まとめ役。本書では参加者の考えや意見の引き出し役

むさしの参加型学習実践研究会 著
2005年1月25日 スリーエーネットワーク 発行
A5判136頁 1200円+税金

『母語学習と人材育成 「友達はいらない」―但是我想要「朋友」』

(財)とよなか国際交流協会

 「現在、“渡日まもない”“学齢期のこども”を対象とした“日本語学習”のための初期対応は全国的にも整備されつつある。しかし、一見“もう問題ない/支援終了”とみなされる青少年の育成についてはあまり関心がはらわれていない。(中略)母語を生かした中長期支援の充実こそ、初期対応支援を開花させる。“日本語指導だけでは結果として同化を強い、人材育成にはつながっていない”という現実を直視し、支援方法を見直す時期にきているのではないだろうか。」(P56,「発見と提言」より抜粋)
 この冊子は1995年に活動を開始した多文化共生を推進する人材育成事業「こどもメイト」の4冊目の活動記録である。今回のテーマは「母語」。日本語を教えることの意味を問い直す一冊である。(A4判79頁 2005年3月発行)
第1部 セミナー「母文化をこわさない日本語支援を考える」(2004年)講演録
第2部 写真で振り返る子どもメイトのあゆみ
第3部 実践と提案〜母語学習と人材育成
 少数点在というハンディを抱える地域での母語学習の実践記録と、母語をエンジンに成長を遂げる子どもたちの姿から得た視点や提案
第4部 ボランティア座談会〜なぜ母語学習が必要なのか

■購入方法:郵便振替用紙に書名および氏名、住所、希望部数をご記入のうえ、代金と送料を下記口座までお振込みください。
■代金:\1500/■送料:\160(1部)、\210(2部)、\310(3〜4部)。5部以上は着払いです。
■郵便口座番号:【00900−8−100382】/■郵便口座名義:【財団法人とよなか国際交流協会事業口】
■問合せ:(財)とよなか国際交流協会 Tel 06-6843-4343 担当:中津

とん・とん インフォメーション

★厚生労働省 「中国帰国者生活実態調査」結果の概要

帰国者本人5,208人を対象に、回答のあった4,094人(回収率78.6%)について取りまとめたもの
(調査実施期間 平成15年11月20日〜平成16年3月31日)

1.帰国者の年齢(本人) :平均年齢: 孤児61.5歳、婦人等70.0歳、全体で66.2歳
年齢別の割合:孤児は60歳代69.9%と最も多く、次いで50歳代28.7%
       婦人等は60歳代41.4%と最も多く、次いで70歳代33.8%、80歳代15.4%の順

2.都道府県別居住地
孤児:東京都21.0%と最も多く、次いで大阪府9.6%、神奈川県7.7%、埼玉県6.6%、愛知県5.6%
婦人等:東京都17.9%と最も多く、次いで大阪府10.0%、長野県8.0%、愛知県4.6%、埼玉県3.9%

3.日本語の習得状況
帰国者本人の日本語の理解度は、「日常会話に不便を感じない」16.2%、婦人等56.9%
「買物、交通機関の利用に不自由しない」を合わせると、孤児51.5%、婦人等77.0%
一方、「片言のあいさつ程度」「まったくできない」の合計が、孤児47.1%、婦人等22.1%
年齢別にみると、終戦時の年齢が高い者(70歳以上)は理解度が高く、年齢が低い者は低くなっている。
また、配偶者の日本語の理解度をみると、「日常会話に不便を感じない」13.3%、「買い物、交通機関の利用に不自由しない」25.6%で合計38.9%となっており、帰国者本人に比べ低い数字となっている。

4.就労状況
帰国者本人の就労状況をみると、「現在就労している」13.9%、「以前就労していた」35.3%で、合計49.2%、「就労したことがない」が44.2%
なお、現在就労している者は60歳代前半までの者がほとんどを占めている。
就労状況を世帯でみると、帰国者のみ就労している世帯8.8%、配偶者のみ就労している世帯6.0%、帰国者及び配偶者が就労している世帯5.1%で、両方とも就労していない世帯80.1%
また、就労していない理由は、「高齢のため」50.3%、「病気やけがのため」39.1%
就労による平均収入(手取り)月額は、帰国者又は配偶者の一方が就労している世帯が13万8千円、帰国者及び配偶者両方が就労している世帯が28万8千円、全体では17万8千円
(なお、収入額は、帰国者本人及び配偶者の収入のみであり、同一世帯の子等の収入は調査していない。)

5.年金の状況
年金の受給状況:孤児35.8%、婦人等66.2%、全体で52.4%が現在年金を受給
また、現在受給及び加入中の年金種別をみると、国民年金が最も多く、孤児52.7%、婦人等59.2%となっており、次に厚生年金が孤児36.5%、婦人等24.2%と続いている。
受給している年金額は、36万円未満(月3万円未満)51.2%、次いで36〜60万円未満(月5万円未満)が25.1%

6.生活保護の受給状況
孤児世帯61.4%、婦人等世帯55.2%、全体では58.0%が現在生活保護を受給
なお、帰国後経過年数別の受給状況をみると、年数を経るにしたがって受給率は減少している。
また、帰国者本人が就労している世帯は10.9%の受給率

7.帰国後の生活状況
現在の生活状況では、「苦しい」「やや苦しい」の合計が孤児64.6%、婦人等53.5%、全体で58.6%
ただし、帰国前の生活状況と比べると「楽になった」「やや楽になった」の合計が35.8%と「苦しくなった」「やや苦しくなった」の合計28.0%を上回っている。
帰国後の感想をみると、「良かった」「まあ良かった」の合計は、孤児53.7%、婦人等73.4%となっており、帰国者の64.5%が満足している。
そのうち、良かったと思う理由は、「祖国で生活ができるようになった」が最も多かった。
また、「後悔している」「やや後悔している」帰国者は、孤児16.1%、婦人等7.7%
そのうち後悔している理由は孤児・婦人等とも「老後の生活が不安」が最も多かった。

8.介護保険の状況
帰国者本人及び配偶者の介護保険制度における認定状況:認定を受けている世帯10.9%
そのうち認定の程度は「要支援」40.3%と最も多く、次いで「要介護1」28.1%、「要介護2」12.2%

9.地域生活の状況
帰国者本人の近所とのつきあい状況を聞いた(複数回答):「招待し合うような親しい人がいる」24.0%、「立ち話をする程度に親しい人がいる」26.7%、「つきあいがない」18.4%
また、悩みの相談相手としては家族(子、配偶者)を多くあげている。
帰国者本人が参加したことがある地域活動(複数回答):「町内会・自治会の地域清掃」が75.6%と最も多く、次いで「地域の祭り」27.8%、「防災訓練」19.4%の順となっているが、「参加したことがない」も14.5%あった。

10.家族の状況
帰国者1人当たりの日本在住の家族数:国費同伴、呼び寄せ家族を含めて孤児が9.4人、婦人等が11.8人。また、帰国者1人当たりの中国に残っている家族数は、孤児が0.9人、婦人等が1.3人

11.国費により同伴帰国した子世帯との状況
帰国者を扶養するため同伴帰国した成年の子世帯と現在同居しているのは、孤児が28.1%、婦人等が38.4%
別居者の別居までの期間は孤児・婦人等とも約6割が3年未満
(参考)
平成6年度 : 65歳以上の帰国者本人を扶養するために同伴する成年の子1世帯を援護対象とした。
平成7年度 : 帰国者本人の年齢要件を60歳以上に引き下げた。
平成9年度 : 帰国者本人の年齢要件を55歳以上に引き下げた。

12.同伴帰国した子・孫の就学状況
同伴帰国した子・孫で現在就学中の者が「いる」のは44.5%
学校別では、子は大学が最も多く、孫は小学校が最も多い。

13.日本在住の子と子の配偶者の状況
日本在住の子の平均年齢は、孤児の子34.8歳、婦人等の子40.9歳
年齢別:孤児の子は30歳代が59.2%と最も多く、次いで40歳代が21.0%、20歳代が14.7%の順
    婦人等の子は30歳代が34.4%と最も多く、次いで40歳代が33.2%、50歳代が17.2%の順
子と子の配偶者の就労状況:子または配偶者のどちらか一方が就労している世帯38.8%、両方とも就労している世帯44.8%と、世帯としては83.6%が就労しており、就労していない世帯は6.7%となっている。
子と子の配偶者の日本語の理解度:「日常会話に不自由を感じない」50.8%、「買い物、交通機関の利用に不自由しない」26.9%

14.生活支援の状況
子世帯から何らかの「生活支援がある」と答えた帰国者は60.2% そのうち「生活費の援助がある」は17.7%
生活費の援助の程度は「こづかい程度(1万円以下)」が48.8%と最も多く、次いで「生活費の一部」が27.7%、「生活費の大部分」は14.2%

(参考)
昭和20年8月9日(ソ連参戦)以降の混乱により、中国に残留を余儀なくされた者を総称して「中国残留邦人」と呼んでいる。そのうち、
○「中国残留孤児」とは、当時の年齢が概ね13歳未満で、本人が自己の身元を知らない者をいう。
○「中国残留婦人等」とは、上記以外の者をいう。(主として婦人)

★なお、詳細については厚生労働省ホームページをご覧ください。
 概要…http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kikokusya/03/index.html
 目次及び本編…http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kikokusya/03/betsu.html

ホームページ紹介

豊橋市教育委員会

「外国人児童生徒教育資料」保健関係や学校行事に関する翻訳文書(ポルトガル語、スペイン語)
⇒ http://www.gaikoku.toyohashi.ed.jp/

可児市役所ホームページ翻訳資料リスト(ブラジル:ポルトガル語資料編)

⇒ http://www.city.kani.gifu.jp/gakushuu/honyaku/index.html

 この2つのホームページは、これまで教育委員会の教育相談員や各学校の担当者等によって翻訳されてきた、非常に多くの学校からの配布物(運動会や授業参観、水泳指導等行事関係、寄生虫検査のやりかた、医療券の回収等保健関係の連絡文書など)を、ポルトガル語(豊橋のものには一部スペイン語も)の対訳表記をつけてまとめたものである。各項目ごとにプリントの形で閲覧、印刷できるようになっている。学校の概要から編入学、保健関係の文書まで大変バラエティーに富んでおり、学校生活の1年間の配布物がほぼ網羅されているといえる。豊橋のものには中学1年の数学の一部を対訳教材にしたものや初期指導資料、これらを活用するためのポルトガル語・スペイン語の手引きが、可児(岐阜県)のものには、外国人の子どもたちのための進路ガイド(ブラジル・ポルトガル語版)が付記されており、ともに充実した内容になっている。
 ポルトガル語・スペイン語を母語とする児童生徒の支援者にとって大変役立つ資料である。

ニュース記事から

ニュース記事から  2005.01.11 〜 2005.05.13

01/25 中国残留婦人訴訟 地裁・第1回口頭弁論/高知
01/25 全国樺太連盟支部役員に感謝状 残留邦人の一時帰国者受け入れに尽力/北海道
02/03 中国残留孤児訴訟 第4回口頭弁論/岡山
02/04 スマトラ沖大地震:元残留孤児が街頭募金贈る−九州帰国者の会
02/04 国籍確認訴訟:中国帰国女性の訴えに日本国籍認める−地裁判決/京都
02/10 インドシナ難民−公的支援廃止を受け 文化庁などが支援ネット
02/28 九州地区中国帰国者の会:福岡で3周年総会−立法で生活保障を
03/01 パラオ残留孤児:「中国残留孤児と同様に国費を」
03/07 残留孤児の連れ子退去処分「不当」 原告が逆転勝訴/福岡高裁
03/08 中国残留孤児:鹿児島の街頭で孤児が訴え 「人間らしい生活を」
03/22 中国残留孤児訴訟:勝訴へ支援訴えデモ行進、「人間らしい補償を」/大阪
03/24 福岡中国残留孤児訴訟:法廷通訳付けず
03/28 〈孤児帰国調査〉生活保護6割が受給 → 本紙10頁、11頁にて紹介
03/27 残留孤児(故人)の中国に残した夫 在留資格を認めず/東京入管
04/12 ロシア残留邦人の身元判明 DNA鑑定、孤児以外で初
04/12 フィリピン残留日本人2世、身元調査費を予算計上/外務省
04/18 中国残留孤児:訴訟原告団結成−東北4県の70人/宮城
04/18 文科省調査:日本語指導が必要な外国人の子、前年度比、在籍学校数過去最多
04/26 残留孤児養子の定住資格「6歳未満」要件緩和へ/法務省
04/27 中国残留婦人13人が国相手に提訴/埼玉
04/28 残留孤児訴訟:口頭弁論、本人尋問−岡山地裁

お知らせ

◆当センター所長 高根和子 は 3月31日を以て退職しました。
 4月1日、後任として 中沢勝義 が就任しました。

◆中国帰国者支援・交流センター所長 本田機先 は 3月31日を以て退職しました。
 4月1日、後任として 小林佑一郎 が就任しました。