HOME > 支援情報 > 機関紙「同声同気」 > 第28号(2003年9月22日発行)  PDFファイル
地域情報ア・ラ・カルト
 再研修/遠隔課程スクーリングの現場から<福岡県自立研修センター>
 長崎県中国帰国者支援交流センター開設・奈良中国帰国者支援交流センター設立
 中国帰国者の会 聞き取り記録集作成の活動について
行政・施策
 文化庁から
 文部科学省から
 援護基金から
研修会情報
 研修会報告「ことばと学び−多文化共生時代の子どもの教育」
教材・教育資料
 外国人生徒の進路指導に関する調査・研究報告書(多文化共生センター)
 東京 外国人児童生徒の教育実態調査報告(多文化共生センター・東京)
 報告書:育てよう!私たちの多文化共生社会
 ★中国語を母語とする学習者のための漢字教材:漢字を覚えよう!
 ビデオ:日本語劇(中野区国際交流協会)
とん・とんインフォメーション
 ★中国残留婦人・孤児聞き取り記録集 『道なき帰路』・『下伊那のなかの満州』・『すてられた民の記録』
 ★2003年 秋 各地の高校進学進路ガイダンス情報(東京・千葉・神奈川・奈良・三重・大阪)
 ニュース記事から
 ブックレット:相談対応ヒント集
 特別枠のある大学の入試情報

 今号では、今年ほぼ時を同じくして刊行された3冊の記録集を紹介します。いずれも中国残留婦人・残留孤児の方々の体験談を聞き取ってまとめた貴重な冊子です。それぞれ山形、長野、東京で作成されました。同様の記録集が高知で発行されたのも去年のことです(本紙25号で紹介)。最近は、各地のセンターからも、「記録集の作成を計画中」「帰国者がこれまでの体験を自ら執筆中」といった便りが届きます。終戦から58年、このままでは歴史の証言者としての帰国者の記憶は風化し埋もれていってしまう、各地の動きにこのような危機感の高まりを強く感じる思いがします。
 今号では、また、先号の特集に引き続き、各地の高校進学進路ガイダンス、その後の状況について取材したものをまとめました。

地域情報 ア・ラ・カルト

★再研修/遠隔課程スクーリングの現場から 福岡県中国帰国者自立研修センター

 福岡の自立研修センターの日本語再研修は平成9年11月に開講し今年で6年目になります。毎週日曜日の午後2時から4時半まで基礎コースとレベルアップコースの2つのクラスで日本語の授業を行っています。今年度は基礎16名、レベルアップ25名でスタートしました。
 基礎クラスは20代から70代まで幅広い年齢層で基礎的な会話を中心に学習しています。年配の研修生は週1回の研修を楽しみに参加しています。年配者同士の会話もはずみ、若い人達からは生活上のいろいろな相談を受けるなど和気あいあいとした情報交換の場にもなっています。一方レベルアップクラスでは、20代30代を中心に、仕事や生活に必要なより進んだ日本語を学習しています。職場や生活の場で出会った様々なことばの疑問を教室で積極的に質問するなどとても意欲的で、実生活でがんばっている様子が伝わってきます。
 最近は勤務状況の変化などで、出席できない人も増えてきていますが、基礎クラスもレベルアップクラスも出来るだけ日本語を覚えて、少しでも生活や仕事に役立てたいと熱心に学習に取り組んでいます。
 昨年10月より、東京の中国帰国者支援・交流センターの遠隔(通信教育)課程に在籍している人を対象に、スクーリングクラスを始めました。各コース月1回、基本的に、日本語研修のない土・日曜日に実施しています。15年度は近隣交際会話コース3クラス、漢字学習コース1クラス、高卒程度国語コース1クラス、計5クラスを開設しています。
 近隣交際会話クラスの受講者は、主に60歳以上の一世世代が中心となっています。1クラス平均3名と少人数ですが、クラス内での日本語のレベルや受講開始時期の違い、教材の難易度の高さ、高齢者が実生活の中で使用する機会が少ない内容など指導の難しい面もあります。高卒程度国語クラスの受講者は現在1名です。今年1月より受講を始め、技術専門校に合格し、9月より溶接科の訓練を受けることが決まりました。漢字学習クラスは5名の受講者で実施しています。5名中4名が一世世代です。覚える内容が多く大変なようですが、みなさん頑張っています。
 近隣交際クラスについては、交通費の負担が難しい受講者の為に福岡市東区と北九州市へ出向いてのスクーリングも実施しています。月に1度のスクーリングの日を皆さん楽しみに待っているようです。

「長崎県中国帰国者支援センター」開設!(2003年8月1日)

日本語教室、生活相談、就労相談が行われています。
場所:長崎市江戸町2−1 県庁第3別館 電話095-822-3523
問い合わせ先:095-822-1022(県社会福祉課)

「奈良中国帰国者支援交流会」設立!(2003年6月7日)

身元引受人・自立指導員を発起人に、孤児だけではなく二・三世も支えたいとの思いから設立されました。日本語学習や就労・生活の相談とともに帰国者同士の交流や地域住民との交流、また二・三世のための中国語講座の開設も検討中とのこと。
会への問い合わせ:交流会事務局 電話0742-48-1860

「中国帰国者の会」−残留婦人聞き取り記録集作成の活動について−

 「中国帰国者の会」は1982年に発足、現在会員は1000名をこえ、中国帰国者とその家族の支援のために、日本語教室や生活相談室を運営したり、帰国者の交流の場を設けたり、バザー等の事業活動や地域での広報活動などを行ったりしています。
(「中国帰国者の会」のホームページは http://kikokusha.tripod.co.jp/)
 「会」の活動の中で、中国残留婦人の問わず語りのお話を伺う機会が何度かありました。その内容はいずれも私たちの想像を絶する苦痛と苦悩に満ちたものでした。私たちはそうしたお話を伺うたびに、戦争がもつもう一つの過酷な面を知らされ、二度とその悲劇を繰り返さないために、現代を生きている私たちがきちんとその内容を受けとめなければならないと思いました。しかし、残留婦人はすでに70代、80代に達しており、そのお話を聞き取るために残された時間は、残念ながらそれほど長くはないのです。
 一方で残留婦人たちのお話をぜひとも聞かなければならない、他方で「会」に参加している学生をはじめ若い人たちに広く事実を知ってもらいたい。この両者を有効に結びつけるために、私たちの会では若い人たちが中心になって、残留婦人にお話を聞く機会を設けることにしました。若い人たちが直接残留婦人のお話を伺う、そこに二重の意味での成果を期待したのでした。
 2001年に聞き取り委員会を正式に立ち上げました。過去にも1998年に聞き取りを行ったことがあるのですが、今回改めて再開し、現時点までの聞き取り調査を記録集『道なき帰路』として完成させました。(この本については本紙9頁で紹介。)聞き取り委員会の中心メンバーとなったのは若い学生たちですが、これに社会人も加わり、のべ15の聞き取りグループが出来ました。話し手と聞き手の共同作業で様々な困難を乗り越え、紆余曲折を経て、最終的に記録集を発行できたのは2003年5月30日です。
 この本のなかには、10人の残留婦人がいわば渾身の力をふりしぼって私たちに語ってくれた貴重な歴史的証言が詰まっています。私たちはこれを少しでも多くの人たちに読んでいただきその意義を考えていただきたいと考えています。今回健康上の理由で聞き取りを完結できなかった方がいらっしゃいました。また、まだ私たちの「会」とコンタクトがとれていない残留婦人の方も少なくありません。私たちは、時間との競走のなかで、これからも引き続き可能な限り多くの残留婦人のお話を伺っていこうと思っています。

(中国帰国者の会:佐藤鉄郎※)

※この記録集発行の活動について詳しくお知りになりたい方は、所沢センター ホームページ トップ画面のコンテンツガイド〈帰国者 手記/事例〉のコーナーをご覧下さい。

行政・施策

★文化庁から

平成15年度「文化庁日本語教育大会(東京大会)」の開催報告

 文化庁では、8月5日(火)・6日(水)の2日間に渡り、昭和女子大学において、「日本語学習者の視点から日本語教育を考える」という全体テーマで、延べ約1500人の参加者を得て、平成15年度「文化庁日本語教育大会(東京大会)」を開催しました。
 開会に当たり、主催者側から(文化庁次長から)あいさつが行われ、続いて、日本語教育に関する施策説明を国語課長が行ないました。
 その後、「日本語と私」と題したピーター・バラカン氏による講演と、4人の日本語学習者(各人の第一言語は中国語、ポルトガル語、カンボジア語、スペイン語)からの「日本語学習奮闘記」と題した体験の発表や座談会が行なわれました。また、日本語教育の関連分野の専門家によるパネルディスカッションでは、学習者の体験談から提示された課題に応じた方策等について、その困難点や要因の分析を試みながら協議が行なわれました。
 2日目は、午前中に社団法人国際日本語普及協会の協力による「地域におけるネットワークの構築−日本語支援のさらなる広がりを目指して−」と題したシンポジウムが開催され、地域における多様な学習需要に応じた支援方策の展開のために不可欠と考えられるさまざまな専門家との連携・協力の在り方について、活発な協議が行なわれました。
 午後からは、日本語及び日本語教育に関連して、音声・音韻、教授方法、異文化心理学・カウンセリング、対象者別の(年少者、難民、地域に居住する外国籍住民や年代別の日本語学習者などに対する)日本語教育方法の在り方等に関して研究・協議する「日本語教育研究協議会」(分科会)を開催しました。今年度はこれまでにない方式で、前・後半それぞれ2時間ずつ、3つの分科会に分かれて(計6つの分科会で)、800人近い方々の参加を得て、講義や演習、議論が活発に行われました。
 なお、本年の11月2日(日)には、「関西元気文化圏構想〜『文化』で関西から元気になろう〜」の一環として、神戸大学において「ボランティア活動としての日本語教育の在り方について考える」をテーマに、関西大会を開催する予定となっています。奮って御参加ください(詳細は、文化庁のホームページの新着情報を御参照ください)。

文化庁文化部国語課 野山 広(日本語教育調査官)

★文部科学省から

 平成2年に「出入国管理及び難民認定法」が改正されたことなどにより、外国人が数多く来日し、これに伴って、我が国の公立の小・中学校等に在籍する日本語指導を必要とする外国人児童生徒が増加しました。また、海外から帰国した児童生徒についても、滞在の若年化や在留期間の長期化等により日本語能力の形成が必ずしも十分ではない児童生徒が増える傾向にあります。このような児童生徒に対しては、学校生活面や学習面での適応を図る観点から、適切な日本語指導を行うことが重要です。
 このため、文部科学省では、日本語指導教材等の作成・配布や日本語指導講習会など日本語指導の充実を図ってきました。
 しかし、当該児童生徒の中には、日常会話程度の日本語は習得しながらも教科学習にはなかなか参加できずにいるという状況がみられ、これに対し、各学校で日本語指導に当たっている教師が試行錯誤しながら指導を行っている現状がみられます。
 このため、文部科学省では、平成13年度に協力者会議を設置し、日本語の初期指導から教科学習へつながる段階のカリキュラム開発(小学校編)を行い、昨年8月に教科を問わずにみられる体験的活動をベースとした「トピック型」カリキュラムを取りまとめ公表し、その後、学校現場での検証授業を通じて必要な修正を加えるとともに、小学校の国語、社会、算数、理科の各教科の学習に対応した「教科志向型」JSLカリキュラムについても検討を行い、本年7月に最終報告として取りまとめ、公表しました。
 このJSLカリキュラムは、固定した順序性をもって配置されたものではなく、生活背景、学習歴、日本語の力、発達段階などの多様な児童生徒の実態に応じて、教師自身が柔軟にカリキュラムを組み立てることを支援するツールと位置づけています。具体的には、直接体験などの活動の中にある発問と応答で構成される活動単位(Activity Unit)ごとに様々な日本語表現のバリエーションを組み合わせた“AUカード“を用意し、児童生徒の実態に応じて参加可能な学習活動を設定しながら、理解可能な日本語表現を工夫することにより、学習活動に日本語で参加するための力(=「学ぶ力」)を育成することを目指しています。
 また、JSLカリキュラムによる授業づくりと実践をサポートするため、東京学芸大学国際教育センターに「外国人児童生徒教育支援ホームページ」(http://jsl2.u-gakugei.ac.jp)を開設し、授業実践を支援するツールや実践事例などを収集・提供することとしています。

(文部科学省初等中等教育局国際教育課)

★援護基金から

本道記念ホームヘルパー養成援助

 援護基金では、二世、三世を含めた帰国者とその家族の就業上のキャリアアップ(資格向上)のため、ホームヘルパー2級課程養成講座を受講する帰国者やその家族に対して受講料の8割を援助して奨励することにします。

対象者:
 帰国者一世、二世、三世とそれぞれの配偶者で、ホームヘルパーを目指して、養成講座を履修する意志があり、同講座履修に必要な日本語を習得している向学心旺盛な方。

援助額:
 養成講座受講料の8割を給付します(但し上限を8万円とする)
 養成講座終了後、修了者が直ちに施設に就職できるとは限りませんが、地域の社会福祉協議会や病院などに登録しておいて訪問看護を行ったり、施設就職の機会も開けます。今年度は40人ほどを予定していますが、来年度以降は50人以上を目指し5年間で300人のヘルパーを養成するのが目標です。希望者は、援護基金事務局に申請書を要求してください。なお、昨年末特別養護老人ホームで亡くなった本道英子さんから寄贈されました寄付を、ヘルパー養成費用として充てることにしました。

サハリン帰国者にも就学援助全面適用

 援護基金の就学援助は、中国帰国者のための募金を原資にしていることから、いままで樺太からの帰国者の子弟に対しては、高校の就学のみを対象としていましたが、二、三世の日本での生活の実態は中国帰国者と同様とみて、就学についての各種援助を平成16(2004)年度より専修学校や大学への就学を援助することになりました。

援護基金設立20周年事業「異文化社会日本での適応奮闘記(仮題)」の出版について

 援護基金が昭和58(1983)年4月1日に設立されてから満20年を迎えます。これを記念して「異文化社会日本での適応奮闘記(仮題)」の出版を企画しました。帰国者一世・二世・三世及びその配偶者から広く体験記を募集。優秀作は表彰し、記念品及び賞金を贈呈します。また、優秀な作品は、日中対訳形式の冊子として出版します。

中国帰国者支援・交流センターの事業に関して

@10月からサハリン帰国者のための遠隔学習(通信教育)開始
 開講するのは、「就職対応コース」と「近隣交際会話コース」の2コースです。募集要項希望の方、または詳細については、同センターまでお問い合わせください。
中国帰国者支援・交流センター 電話:03-5807-3173・3171

A「友愛電話」と「友愛訪問」の開始予定
 今秋をめどに、「友愛電話」と「友愛訪問」を始める予定です。「友愛電話」は、1人暮らしか夫婦2人だけの世帯の高齢の帰国者を対象に、中国語で電話をして、生活相談をしたり、話し相手になったりするものです。必要に応じ、直接帰国者のお宅を訪問をする「友愛訪問」も行います。
(財)中国残留孤児援護基金 電話:03-3501-1050/FAX:03-3501-1026

研修会情報

★研修会報告

スリーエーネットワーク創立30周年記念フォーラム「ことばと学び 昨日・今・明日−多文化共生時代の子どもの教育」

 8月22日、東京の自由学園において開催された同フォーラムでは、午前には西原鈴子、佐藤群衛、宇土泰寛氏による講演とパネルディスカッション、午後には以下の分科会に分かれての実践報告があった。

A:「避けて通れぬ学習支援−教科学習と日本語−」大蔵守久(波多野ファミリースクール)他
B:「二言語環境に育つ子どもたちの認知的・言語的発達をどう促進するか」岡崎眸(御茶ノ水女子大学)他
C:「外国人児童生徒が安心して通える学校づくり」金子正人(横浜市立いちょう小学校)他
D:「活動をベースにした内容重視の日本語教育−JSLカリキュラムによる授業の実際−」齋藤ひろみ(東京学芸大学)他
E:「子ども達を地域で支えるネットワーク」松本一子(東海日本語ネットワーク)他

 この稿では、C分科会の内容について報告したい。
 いちょう小学校は全校児童212人、うち71人の外国人児童が在籍しており、ここ数年で、学校と地域との連携による“外国人児童が安心して通える学校づくり・地域づくり”は確実に推進されてきたという。平成10年から、この地区の「外国人児童生徒教育4校連絡会」が組織され、保護者をはじめ、教育委員会、行政、大学、地域のボランティア、自治会等が協同して実質的な協力・連携関係を築くことができたそうだ。現在の課題としては、母語保持の問題があげられた。子どもたちは、日本での生活が長くなるにつれ、日本語は上達するが母語を忘れていく傾向にある。一方で、保護者は仕事に追われ、日本語の習得もあまり進まない、その結果親子間の意思疎通が難しくなる。いちょう小学校では、母語教室を主催するボランティア団体と学校とが連携して母語保持の活動を進めていこうとしており、PTAが主体になった母語保持教室も始まるとの報告があった。
 学校や地域の日本語教育の現場に直接関わっている人々が集まり、実践報告を聞いて意見交換ができたこと、また現場ですぐに生かせるヒントが得られたことは大きな収穫であった。

(所沢:山田)

研修会情報

2003年度日本語教育学会<秋季大会>

大阪大学(大阪府吹田市)で10月11日(土)・12日(日)に開催
問い合わせ先:(社)日本語教育学会 TEL03-3261-4261

緊急シンポジウム「いま、中国帰国生徒特別枠入試を問う」

日時:2003年10月19日(日)
会場:拓殖大学  参加自由、参加費無料
主催:中国帰国生徒特別枠入試シンポジウム開催実行委員会
連絡先:京都大学留学生センター蘭研究室 TEL075-753-2554/FAX075-753-2562

★詳しくは、当センターホームページ<研修会情報>をご覧下さい。

教材・教育資料

外国人生徒の進路指導に関する調査・研究報告書

『多文化な子どもたちの進路保障について考える−多文化進路ガイダンス参加者へのヒアリング調査報告会とシンポジウム−』

特定非営利活動法人 多文化共生センター (A4判82頁)

 『同声同気』27号で特集した各地の進路進学ガイダンスですが、参加した子どもたちのその後の進路はどうなっているのでしょうか。この報告書では、1999年度から2001年度に大阪で実施されたガイダンスの参加者に連絡を取り、そのうち了解が得られた27人に実施したヒアリングの調査報告及び調査結果データが示されています。データの分析を通しての進路決定の促進・阻害要因の考察、調査結果から見えてきた課題(保護者へのサポートの必要性・教員に対する体系だったサポート体制確立の必要性等)の指摘等とても参考になります。

申込は多文化共生センター・大阪まで。送料のみ負担してくださいとのこと。
TEL:06-4395-1377 FAX:06-4395-1378 osaka@tabunka.jp(担当:川島) 送料:1部500円

『東京都23区の公立学校における外国籍児童・生徒の教育の実態調査報告2002年VOL.3』

多文化共生センター・東京21 価格:1,500円/送料:1部290円

 外国籍の子どもの教育をめぐる問題が近年、特に注目されています。しかしながら、現行制度のもとでは「就学義務のない」外国籍児童・生徒の現状を把握することは容易ではありません。多文化共生センター・東京21では、2000年度より、区行政(戸籍住民課外国人登録、区教育委員会)にアンケート調査を行ってきました。2002年度は、教育委員会へのアンケートに加え、新たに朝鮮学校、華僑学校、韓国学校に対する調査を行いました。これは、外国籍の子どもの就学実態をより正確に把握するとともに、外国人学校の実態を明らかにすることを目的としたものです。日本社会の一員である外国籍の子どもの教育と進路をめぐる議論の基礎資料として、あるいは日本の教育制度を再検討するための参考資料として、大変役立つものになっています。

注文・問い合わせ:多文化共生センター東京21
HP:http://www.tabunka.jp/tokyo/ TEL/FAX:03-5825-1290 E-Mail:cmia-tk@tctv.ne.jp
(事務所開設日 火・木・金・土の12時〜20時)
郵便口座:00110-8-407588 加入者名:「多文化共生センター・東京21」 (振込み手数料は本人負担)

日本財団のHPから全文ダウンロードできます。
『育てよう!私たちの多文化共生社会−NPOが提案する共生へのシナリオ−』

(A4約70頁分)

 同書は、2001年5月から浜松市で開催された日本財団主催「多文化セミナリオ東海」のプログラムと、標記タイトルの成果発表会(日本財団・浜松NPOネットワークセンター主催)をもとに制作されたブックレットです。
@日本で暮らす外国人の増加とNPOによる取り組みの傾向および今後の課題についての整理、A医療・教育・街づくりの分野で活動するNPOの現場報告、BNPOによる具体的な共生のためのプログラム提案、CNPOと自治体との協働を中心とした最新の動向と今後への期待についてのまとめを内容としており、大学や高等・社会教育での演習、NPO運営のためのセミナー等在日外国人との共生を目指す現場で活動する人々にとって参考となるものです。

方法:http://nippon.zaidan.info/seikabutsu/2000/01291/mokuji.htm より「多文化セミナリオ東海」2001年報告書を選択してください。(但しPDF形式のため、同画面よりAcrobat Readerをあらかじめインストールする必要があります)

★新刊紹介

『漢字を覚えよう―中国語を母語とする日本語学習者のための漢字教材―』

上 A4判321頁・下 A4判346頁 各1500円 発行:(財)中国残留孤児援護基金

中国帰国者支援・交流センターで使用している自学自習用教材。
日本と中国では、同じ漢字でも読み方が違い、意味も同じだとは限らない。また漢字の字体の違いにも注意が必要。本書は、日本の小中学校で学習する漢字約1800字をテーマ別に採りあげ、
●漢字とその読み・主な熟語とその中国語訳
●短文形式による練習問題
●チェック用テスト、で構成。
また、日中漢字の形の違いについての一覧表や、コラム(漢字の読みや同音異義語、字体について)等の参考資料のほか、巻末には音訓・総画索引もついている。

(注文先)電話03-3501-1050/FAX:03-3501-1026

中野区国際交流協会(ANIC)作成のビデオ:「やっぱり、日本語!パート3」

このビデオは、同協会主催の《国際交流の集い》を記録したもので、協会の日本語教室に参加している学習者による日本語スピーチと、日本語劇の二部構成(約2時間)となっている。この日本語劇に出演しているのは、日本語検定1級や2級合格者など上級の学習者。出身国は、イラン、ガーナ、フィリピン、台湾、タイの5カ国で、日本語学習支援ボランティアも出演している。保育園でのいじめや街頭での外国人差別、失業など彼らの実際の体験について、協会の専門員が聞き取りを行い脚本を作成した。このような日本語劇作りは、学習の一環として2001年に始まったものとのこと。劇のなかで取り上げられている内容は大変重いものではあるが、6ヶ月にもおよぶ劇作りの過程で、参加者たちは自分の問題をことばにして表現し、仲間と話し合うことで解決への糸口を見出していったという。このビデオは、500円+送料で頒布できるので、小中学校の総合教育の時間などで活用してほしい、とのことである。

連絡先:電話 03-3387-2580、Fax 3387-2517、(同協会HP:http://homepage3.nifty.com/anic )

とん・とん インフォメーション

中国残留婦人聞き取り記録集『道なき帰路』

(2003年5月発行)中国帰国者の会 編集・発行

 中国帰国者の会が残留婦人の体験を聞き取り記録した活動が一冊の本になりました。(発行の経緯については本号3頁で紹介)『道なき帰路』には会の学生を中心としたボランティアが聞き取りを行った10名の残留婦人の体験談が載せられています。10名は帰国後、日本の各地に定着している方々です。お話の中で渡満当時の様子、満州での生活、敗戦時の混乱、そして日本帰国、更には帰国後現在に至るまでが語られています。淡々と語られることで、かえって一層その体験の重みが強く伝わってきます。同会の聞き取り調査は帰国者の高齢化が進む中で、残留婦人の体験を記録に残し広く世間に訴えようとして始まりました。過去に2回、1992年、1998年にも同様の取り組みがあり、今回の本は2001年から再開された調査をまとめたものです。

A4判104頁 本体1000円(税込み)+送料300円
注文・問い合わせは (有)シノワ Tel:03-5276-3299、Fax:03-5276-3629 メール:chinois@netlaputa.ne.jp
また、紀伊國屋書店新宿本店、新宿南店、渋谷店の3店舗でも販売されています。

「下伊那のなかの満州(聞きとり報告集1)」

〈満蒙開拓を語りつぐ会〉編 (A4判160頁) 2003年3月発行

 長野県下伊那から満州に渡った満蒙体験者から直接体験を聞き取り、報告書を作成することで、自分たちの手で地域の歴史を明らかにしようとしたプロジェクト、その成果が今回紹介する本です。「満蒙開拓を語りつぐ会」には地元下伊那に住む40代から70代までの30名を超える人たちが参加。地域の身近な人たち(親や兄弟、同級生、親戚の叔父さんや叔母さんなど)が関わった“満州移民”とはどういうできごとだったのか理解したいという参加者(聞き取り者)と、人生の終盤に体験を伝えておこうという帰国者との協同作業により、この報告集は作られました。報告集1では、家族とともに開拓団の一員として渡満した人、青少年義勇軍の一員として渡満した人、青少年義勇軍幹部の家族として渡満した人が、開拓団や義勇軍での生活、逃避行、残留生活、引き揚げなどについて語った言葉がまとめられています。語り手本人のものの見方や気持ちが引き出された内容になっています。2号発行の予定もあるそうです。

入手の問い合わせ先:飯田市地域史研究事業準備室。
Eメール:iidasisi@iidanet.or.jp FAX、電話でも可。FAX:0265-21-1173 TEL:0265-53-4670

『すてられた民の記録』

山形県中国帰国者自立研修センター 発行(2003年3月)

 1945年8月、日本が敗戦の日を迎える直前、中国東北部に開拓団員として移り住んでいた日本人は突然の避難命令で着の身着のまま家を離れた。悲惨な逃避行のはじまりである。匪賊の襲撃、ソ連軍の侵攻、集団自決、さらには肉親との別れ、そして、中国に残留を余儀なくされ「小日本鬼子」と罵られ散々な悲痛を味わった体験。あるいは幸運にも優しい養父母に巡り会って生きのびた人もいる。この文集には、終戦当時0才から27才の15人の様々な体験記14本と、これを読んだ2世の感想文3本が収められている。終戦当時12才だった残留孤児の1人は手記の最後に「この悲惨な体験を、二度と繰り返さないよう、平和を祈って行きたい。平和ほど幸福なものはない。そして二度と再び戦争を起こさせないように、子、孫に語りつづけて行きたい」と述べている。巻末資料「日本人残留孤児・残留婦人等が生まれた終戦時の開拓民概況」も当時の様子を知るための貴重な記録である。

問い合わせ先:山形県中国帰国者自立研修センター 023-623-7052、水曜〜日曜10時〜16時
但し、残部は少し、送料は自己負担とのことです。(B5判142頁)

2003年度秋 各地の高校進学進路ガイダンス情報
(日時/会場/主催/連絡先の順に掲載)

※詳細は当センターのホームページ・進学進路のコーナーをご参照ください。

●東京都
☆10月5日(日)東京ボランティアセンター(飯田橋)
 多文化共生センター・東京21 0426-64-1656(としま)

●千葉県
☆9月23日(火・祝日)浦安市民プラザWAVE101
☆10月13日(月・祝日)アミュゼ柏
 房総日本語ボランティアネットワーク 長澤043-290-2568 吉野043-290-3635 白谷043-424-4364

●神奈川県
☆9月23日(火・祝日)横浜駅神奈川県民センター2階大ホール
☆9月28日(日)平塚横内団地集会所
☆10月11日(土)淵野辺 相模原国際学生会館
☆10月19日(日)横浜市泉区いちょう小コミニティーハウス
 多文化共生教育ネットワークかながわ 高橋:045-942-5202/Email:seijyu@246.ne.jp

●三重県
☆11月2日(日)ふれあいプラザ
 上野市教育委員会 0595-21-4111
 MIEA(三重県国際教育協会) 059-229-2578
☆10月12日(日)松阪市教育会館
 人権NPOゆめネット松阪 0598-26-2515
☆11月16日(日)総合会館
 財団法人四日市国際交流協会 0593-53-9955
☆亀山市も開催予定ですが詳細は未定

<総合問い合わせ先>
 MIEA(三重県国際教育協会) TEL:059-229-2578 E-mail:miea@mtu.ne.jp

●奈良県
☆9月20日(土)夜 エルトピア中和(大和高田市)
☆9月27日(土)夜 大和郡山市立郡山南中学校
 奈良県外国人教育研究会 0742-62-5555

●大阪府
☆10月11日(土)吹田市勤労者会館
 三島ブロック実行委員会/(財)吹田市国際交流協会:06-6835-1192
☆11月15日(土)とよなか国際交流センター
 就学サポート・豊能ブロック協議会/(財)とよなか国際交流協会:06-6843-4343
☆10月25日(土)メセナひらかた大会議室
 北河内ブロック協議会/(財)枚方市国際交流協会:072-843-5931
☆11月30日(日)東大阪市 男女共同参画センター
 中河内ブロック協議会/東大阪市国際交流協会:06-4309-3155
☆開催日時=未定(生徒のニーズによる)/八尾市市内の中学校
 中河内ブロック協議会/東大阪市国際交流協会:06-4309-3155
☆10月26日(日)開催場所=未定
 南河内地域連絡協議会/とんだばやし国際交流協会:0721-24-2622
☆11月16日(日)泉ヶ丘図書館
 泉北ブロック協議会/堺・バークレー協会:072-222-7343
☆10月26日(日)大阪府立佐野高校
 泉南ブロック連絡協議会/岸和田市国際親善協会:0724-43-3800

<総合問い合わせ先>
 帰国渡日児童生徒学校生活サポート事業実行委員会 事務局=(特活)関西国際交流団体協議会
 TEL:06-4395-1124 FAX:06-4395-1125 E-mail:kna@pianpo.com

『相談対応ヒント集 外国人とともに生きる社会を』

(2003年2月)大阪発・NGOと行政をつなぐ国際交流協会ネットワーク事業

 外国人が日本で生活するにあたって、どのようなことが問題になるのか、どんな情報が得にくいのかわかりますか。たとえ身近に外国人がいたとしても直接相談を受けたりしない限りなかなかわかりづらいのではないでしょうか。外国人も私たちと同じ地域住民なのに享受しにくい権利がたくさんあります。この冊子では人権という視点から生活になくてはならない情報、外国人が得にくい情報が紹介されています。例えば、保健関係、医療関係、婚姻、在留資格などです。これらの情報は外国人とともに生きる社会を創っていくために、日本人も知っておくべき情報であると思います。
 「『多文化共生』は目指すべきスローガンというよりも、もはや、地域社会の実態です。そうした実態を、日本社会の多民族・多文化との交流の歴史、また、暮らしに必要な資源の多くを海外に依存している生活文化の結果・責任として受けとめ、外国人とともに生きる社会づくりを、『受け身』でなく主体的に引き受けようと決断する必要があるのではないか」これは冊子の最後からの引用です。A4判29頁1冊300円 送料1〜2冊210円、3〜5冊310円

問い合わせ:(財)とよなか国際交流協会 電話:06-6843-4343 FAX:06-6843-4375
★同協会では、外国人市民からの問い合わせが多いことから、現在、まずこの冊子の中国語版を準備中です。(発行は今年度末の予定とのこと)

★《中国帰国者等子女特別枠のある大学の入試情報》

を、今年度も当センターホームページ上に掲載しています。トップ画面中央「ニューコンテンツ」をご覧下さい。

編集部より

中国/サハリン帰国者等を支援する機関やグループ、外国人児童生徒が在籍する学校で、本紙を希望される方には定期的(年3回発行)に送付いたします。
FAXにてご連絡下さい。(FAX 042-991-1689)

★お知らせいただきたい項目
連絡くださった方のお名前/所属団体名/住所(NL送付先)/連絡先/支援状況(例:現在帰国生徒等外国人生徒○名在籍、日本語教室運営)

ニュース記事から 2003.5.26〜2003.9.10

06/11 <入院拒否>残留孤児の夫死亡、病院の過失認めず:東京地裁
06/20 中国残留孤児の血縁ない連れ子に異例の在留特別許可 2家族9人:大阪入管
06/23 中部地方の残留孤児131人 国家賠償訴訟 (東京地裁の第3次提訴、京都府・鹿児島県の提訴と歩調を合わせ 9月に一斉提訴へ)
06/30 残留孤児が広島でも提訴へ他の中国地方四県の孤児にも呼び掛け50〜60人での提訴を目指す
07/02 文科省が教科指導で報告書―外国人の小学生対象に日本語で授業に参加できる力をつける指導方法―
08/12 残留孤児の養子差別は人権侵害 龍谷大生が国連人権小委で報告
08/07 受け入れ校変更は柔軟に 外国人児童教育で総務省※

※滞在外国人の子どものうち、義務教育段階の子どもたちは公立学校への受け入れが国際条約で保障されている。(こうした子どもたちの小中学校在籍者は現在約6万8千人)。総務省は、日本語がうまく話せない外国人の子どもが公立小中校へ編入学する場合、近隣に日本語指導のできる学校がありながら一律に学校を指定し変更を認めないケースがあるとして、通学が可能なら変更を柔軟に認めることを市町村教委に周知徹底するよう文部科学省に通知した。これは外国人子弟の教育についての行政評価・監視結果に基づく措置である(愛知や大阪など外国人登録者が多い12道府県から43市町を選び評価した)。
文科省は1997年に「特段の事情があれば区域外の通学に柔軟に対応すべきだ」と通知しているが、指定校の変更を認めていないのが11市町あった。外国語での就学案内を作っているのは小学校版が15市町、中学校版は11市町であった。